このポスター・・・映画を見終えてから「よーく見ると」
めっちゃ怖い!!
1948年の英国が舞台の
ゴシック・ホラー風味のサスペンスです。
どっちでもあるし、恐怖と心が織りなす「無常」でもある。
時代背景や英国の地方貴族の没落ぶりなど
濃く影響している話ですが
「何か」の正体は今にも通じるものです。
- 1948年夏・ファラデー医師はエアーズ家の領主館を訪れる
- 人も館も今にも崩れそうな没落貴族エアーズ家の人々
- だんだんと親しくなっていくファラデー医師とキャロライン
- エアーズ家に起こる数々の悲劇と超常現象
- キャロラインと結婚を決意するファラデー医師
- そして誰もいなくなり、「何か」が正体を現す
- 館にいる悲劇を起こした「何か」の正体~私の考察
- 館で起きた怪奇現象の正体~私の考察
- 鑑賞後にこのポスター見るとめっちゃ怖いよね
1948年夏・ファラデー医師はエアーズ家の領主館を訪れる
この映画はこのファラデー医師の視線で描かれる
今にも崩れそうな大きな屋敷に暮らす没落貴族エアーズ家のお話です。
エアーズ家が200年以上も暮らす
ハンドレッズ領主館は
かつては栄華を極めていたが
2度の戦争を経てその財政はかなり苦しいものとなっていた。
かつて村人たちの憧れであったエアーズ家のお屋敷。
1919年の夏、ファラデー医師も少年時代に1度この屋敷内に入れたことがあった。
当時のことを思いだし懐かしく思いつつ、
すっかりかつての光を失ってしまったこの大きな館に寂しさも感じていた。
1948年の夏、メイドの具合が悪いと往診に呼ばれやってきた
ファラデー医師はこの後、この一家と親しくなり
この館を頻繁に訪れるようになる。
頻繁にこの館に訪れるうちに
この館で起こる奇妙な出来事に巻き込まれていくことになる。
この家にうごめく「不吉な影」は何なのか?
人も館も今にも崩れそうな没落貴族エアーズ家の人々
かつては多くの使用人を抱え
活気のあったこの屋敷も今は
エアーズ家の3人とメイドが1人暮らすだけ。
①令嬢でありながら家の雑務をこなすキャロライン
往診にやってきたファラデー医師を出迎えてくれたのは
この家の娘キャロライン。
娘といっても年齢的には「若くない」と言われる年齢のよう。
ファラデー医師が独身中年医師として描かれているので
彼よりも少し年下の独身女性ということのようだ。
アエーズ家の令嬢でありながら
身なりも質素で外見も地味な女性で
彼女自身も周囲も村人も「美人じゃない」と言っている。
幼いころに無くなった姉が金髪の美少女だったため
そのことで今も劣等感を感じている。
家の管理や雑用をこなす働き者で苦労人でもある。
②足の不自由な長男ロデリック
キャロラインの弟ロデリックは
第2次大戦で兵士として闘い
大やけどを負い、顔はケロイドで覆われ
脚も火傷で皮膚が引きつれて変形しており
杖が無いと歩くことができない。
エアーズ家の跡継ぎだか
「この館には何かいる」といい
この館から逃れたがっている。
身体のことや没落家族であるため
人付き合いを避ける傾向にあるようだ。
ファラデー医師がこの家に往診に通うようになり
彼の電気治療を受けたことで
杖が無くても歩けるようになり少し元気になってきたところだった。
③今もかつてのままのエアーズ夫人
没落した一家の様子を笑いものにされないように
なのか・・
今も服装や立ち居振る舞いが貴族的なエアーズ夫人。
私の中では「あっこの人は間違いない」という
思いが勝手にする女優さんが演じております。
※「ザ・リトル・ストレンジャー」より
画に説得力がある!
④メイドのベティー
アエーズ家に残るたった1人のメイド・ベティー
ファラデー医師が往診に呼ばれた
「具合の悪いメイド」とは彼女のこと。
ファレデー医師が診察すると
彼女は「家に帰りたくて仮病を使った」と告白した。
この家は不気味で何かあると怖がっているのだ。
だんだんと親しくなっていくファラデー医師とキャロライン
この屋敷の中で息の詰まる日々を暮らすキャロラインと
ファラデー医師は往診を重ねるうちにどんどん親しくなっていく。
はじまりは
ファラデー医師が1919年夏に初めてこの家を訪れた時に
犯した罪の告白だった。
村の子がこの領主館に入ることなどありえない事だったが
庭でのパーティーに呼ばれやってきた日に
母のメイド仲間だった人が給仕場に招き入れお菓子でもてなしてくれた。
その時につい屋敷の中を見たくなって
こっそり抜け出し屋敷の広間で
その壮大さに圧倒されていると
壁の大きな鏡の額にある装飾の一部、
どんぐりの彫刻をとってしまったと約30年の時を経て
この家の令嬢キャロラインに告白。
今の没落ぶりが
心に影を落とすエアーズ一家を
励まそうという意味も含んだ告白だったと思う。
キャロラインは自身も苦労人なだけあって
かつての幼い少年の犯した罪を笑って許し流していた。
エアーズ家に起こる数々の悲劇と超常現象
◆ホームパーティーで少女が顔に大ケガ
現在のエアーズ家で行われたホームパーティーに
ファラデー医師も呼ばれ参加していた。
客人の中にまだ幼い娘を連れてきた一家がいた。
この娘がちょっと生意気で嫌な子で
8歳くらいに見える少女だけど、
家で酒もたばこもやっていると自慢したり
嫌がるエアーズ家の飼い犬を追い回したりしていた。
犬を追って窓辺のカーテン裏に入った少女が
しばらくして悲鳴を上げ、血だらけで見つかる。
医師がいたため素早い処置で命に別状はないが
少女の顔には大きな傷が残ることに・・
少女の両親の訴えで
犬は安楽死させられることになり
ファラデー医師が犬に注射を(;;)
飼い犬をとても可愛がっていたキャロラインは
大きな悲しみに包まれる。
◆この館を売ろうと準備していた長男が火事を起こす
この館に「何かいる」といい
この館を手離そうとしていた長男。
売却の準備を進めていたが、
書斎で火事をおこして準備していた書類を燃やしてしまう。
この火事が原因で
長男は精神病を疑われ、療養のために父方の親族のもとへ
連れて行かれることに(;;)
弟が去りキャロラインはまた悲しみを深めていく。
弟のいない寂しさから、ファラデー医師の訪問を楽しみにするようになる。
◆館内で次々に起こる怪奇現象
- 勝手に呼び鈴が次々に鳴る
- 今は誰も使っていない子供部屋に何かがいる気配
- 子供部屋に入ったエアーズ夫人が閉じ込められ血だらけで発見される
- 足音や話声が聞こえる
こんなことが次々起こり
エアーズ夫人はすっかり弱ってしまう。
更にエアーズ夫人は
この館に「スーザン」の気配を感じ始める。
◆謎の落書きとスーザンの影、婦人の死
エアーズ夫人が発作で倒れた翌日
ファラデー医師はキャロラインから
家で見つけた奇妙な落書きたちを見せられる。
まずは少女が顔にけがをしたあの場所にあった
複数の青い落書き
※「ザ・リトル・ストレンジャー」より
母の部屋ではもっとひどい落書きが見つかる
※「ザ・リトル・ストレンジャー」より
このあたりから
エアーズ夫人は幼くして亡くなった娘「スーザン」が
今もこの家に、自分の側にいると主張するようになる。
そしてファラデー医師に
「この館に私とスーザンが2人で残るから、
キャロラインを連れて遠くに行ってほしい」
と頼んだ。
その時、かまいたちの様に
医師と話す夫人の身体に切り傷ができ
服に血がにじむ。
ファラデー医師の目の前で
どんどん傷が増え、夫人の服が血に染まっていく。
医師が夫人をベッドに運び
鎮痛剤を打ち、
部屋を後にした数分後
ベッドで手首をガラス片で切って息を
していない状態で発見される。
キャロラインと結婚を決意するファラデー医師
※「ザ・リトル・ストレンジャー」より
家のコトで疲れ果てるキャロラインの手をとり
彼女にプロポーズするファラデー医師。
ふたりは惹かれあいながらも
心を通わせようとすると
寸前ですれ違ってきた。
ここでキャロラインも彼との結婚を一度は了承するのだが・・・
そして誰もいなくなり、「何か」が正体を現す
最後にどうなるかというと
「そして、誰もいなくなった」
という感じなのですが
正確に言うとちょっと違います。
このポスターがすべてを手に入れた「ある人」を
そのまま表現しています。
子供の頃に抱いた憧れ
子供の頃に母にとがめられ捨てた野望
子供の頃に「どうしても欲しかったもの」
母に認められるために
「今も尚欲したモノ」のすべてを手に入れた人がここに。
館にいる悲劇を起こした「何か」の正体~私の考察
映画のラストシーンにあるように
この館の人々を次々に悲劇が襲ったその原因の
「何か」はファラデー氏の強い思いが怨念になったものだと思います。
子供のころから優秀だったけど
貧しい村の子であり階級の壁を感じていた彼。
ファラデー少年の父は「妻と子」を認めていなかったようだ・・
と感じる会話シーンがある。
ここに彼の執着の根があるのかもしれない。
ファラデー氏の母はこの館の元メイドだしね。
◆少年の頃の憧れと野望
※「ザ・リトル・ストレンジャー」より
少年の頃、
この村人の憧れだった館の中に入り
その広間の豪華さに圧倒される
と、同時に自分にはどう頑張っても
手に入れられないモノとして
憧れと悔しさの感情が湧いてくる。
更にこの館の美しい少女も
彼の心を奪ったのだ。
※「ザ・リトル・ストレンジャー」より
この少女の目に自分はまったく映っておらず
彼女を追いかけ
館に入り、やっと彼女が自分を見た時は
「家に侵入し、どんぐりの装飾を獲った村の子」を責める表情だった。
その後、少年は母に見つかり
どんぐりの装飾を盗んだことを
ビンタでとがめられ
「その時、ここに野望を捨てた」と言ってたが
本当は置いてきただけだった・・・
憧れと、屈辱と、母に失望されたことで
少年の心は自分で抱えきれない程
大きく揺れて耐えきれず、思いを全てその場に置き去ったのだ。
◆大人になり子供の頃の野望と再会
大人になったファラデー医師は
成功者としてこの館を再び訪れている。
優秀な医師であり、
収入もあり、
論文も評価されロンドンにもよばれている。
作中で特に指摘はないが
たぶん相当なイケメンと見られていたはず。
だってこの丹精な顔立ちだもの。
⇓
※ザ・リトル・ストレンジャーより
子供の頃に「絶対に手に入らない」とあきらめたものが
目の前に「弱った状態」であらわれた。
- 没落した領主館
- 若くもなく美人でもなく疲れ弱っているこの家の令嬢
ファラデー医師はこの館とキャロラインを手に入れる事に
執着していた。
特にキャロラインの向こうにスーザンの存在を見ていたためか、
彼女が愛する自分以外の者を愛犬までも次々に消していく(;;)
キャロラインを手に入れることは
スーザンを手に入れることであり、
この館の主となる意味を持っていた。
ところが後半、たぶん自分が下に見始めていたキャロラインに
拒否されはじめると彼は「キャロライン自身」に執着し始める。
スーザンを投影した彼女ではなく、彼女自身に。
そのことがわかるシーン
※「ザ・リトル・ストレンジャー」より
このシーンで彼の机にある
手書きの書類やノートや手帳たちに
紛れてとんでもねー彼の書いたメモが映し出されます。
このシーンをよ~く覚えておきながら
この先目を離さないでください。
キャロラインに悲劇が襲いかかる
その時に彼が乗ってた車の窓に注目
※ザ・リトル・ストレンジャー
先にあげたメモにある文字と
こちらの窓にある文字で
変化が起こっているのです。
執着先が変わった!?
◆顕在意識の圧が弱くなると、潜在意識の別人格が顔を出す
彼自身がこう同僚医師に話しておりました。
この館に通ううちに
自分も超常現象を信じはじめていて
でもそれはこんなことから起こるんじゃないか?
と、信じたくないけど信じはじめている自分に混乱している様子
でも、この彼の分析
そのまま彼自身のことをいいあててる気がします。
館で起きた怪奇現象の正体~私の考察
ファラデー医師の執着の怨念以外にも
この家で起きた怪奇現象を引き起した原因があると私は考えている。
この屋敷にめったに人が近寄らない事で
この屋敷は隔離された独特な空間になっていたはず。
そして、没落しだんだん苦しくなる生活のなかで
この屋敷に暮らすエアーズ家の人々は「不安」を大きくしていたはず。
不安は恐怖を呼び起こすので
彼らがそれぞれに一番恐れているモノとなって
あらわれたのではないでしょうか?
- 全身に酷い火傷を負うロデリックは「火」
- 幼くして亡くした娘を恋しく思う母は「亡くした娘」
- 「美しく、死んでも尚、母に一番に愛され続ける姉」に劣等感を抱く妹
そしてこの屋敷を覆う「重く暗い」空気に
飲まれた4人は共振して
同じ現象を見るまでになったんじゃないかな。
それぞれがポルターガイスト現象を
無自覚で引き起こしていた感じです。
割とメイドのベティはいつもどんな現象見ても
そんなに慌てていなかったしね。
鑑賞後にこのポスター見るとめっちゃ怖いよね
私が気が付いていないだけで
もっと怖いメッセージが込められているのかも・・・
そもそも、子供の頃のスーザンだけだと
このシルエットにならない気が・・
姉妹が合体してるのかな?
背景の絵が
この屋敷を描いた壮大な壁画です。
この屋敷内の壁に描かれてる。
人は「失ったモノ」と「手に入れられなかったモノ」に
ずっと心を奪われて生きていくのかもしれない。
では、また~☆