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【BBA映画部】十九歳の地図~考察:傲慢な目つきと脅迫電話は武器じゃなく鎧 「匿名の凶暴性」

十九歳の地図

住み込みで新聞屋で働きながら、予備校に通う19歳の青年が主人公の

人間と社会の闇をグリグリと抉る映画でした…

青年が手書きで制作している地図がホントに怖いっ

 

 

19歳は少年?青年?

私の中では青年なんですが…成人前だから少年扱いなのかなぁ

 

十九歳の地図

十九歳の地図

  • メディア: Prime Video
 

 

この内容の話を映画化して興行的に大丈夫だったのか!?

と多少心配になった作品です(^^;)

文学的であり、スカッと爽快でも感動で涙でもなく

どこまでもズンと心に重くのしかかる感じなので。

 

 

映画 十九歳の地図~あらすじ

 

十九才の地図 (河出文庫)

十九才の地図 (河出文庫)

  • 作者:中上 健次
  • 発売日: 2015/01/07
  • メディア: 文庫
 

中上健次氏の短編小説が原作

 

19歳の吉岡まさる

地方から上京し、住み込みで新聞配達しながら予備校に通っている。

住み込み先に新聞屋の寮の部屋は30代の同僚:紺野と相部屋。

 

新聞配達の仕事は過酷で犬に吠えられたり、

雨の日も嵐の日も「自分は濡れても新聞は濡らすな」ときつく言われ

ずぶ濡れになって必死に新聞を配達する。

 

配達だけでなく、集金も吉岡たちの仕事だ。

下町の住民たちはくせ者が多く、

金を払わないで追い返そうとする人や

サービスの品を要求する人など一苦労だ。

 

しかもどの客も新聞配達・集金人である自分を

バカにしたり、見下しているような態度で

吉岡は心の中にモヤモヤした気持ちを溜めこんでいた。

 

そして、いつからか

配達先の家を手書きの地図に書き込み

「×」バツをつけはじめる。

気に入らないと×をつけ、

3つ×がたまると公衆電話から匿名で

嫌がらせや脅迫電話をかけるのだ。

 

新聞配達の同僚は皆、吉岡と同世代。

でも同僚たちは吉岡を「童貞で女とまともに話せない」と小ばかにしてくる。

彼らは30代の紺野のこともバカにしていた。

「小汚くて、だらしない、金も返さない、ダメな奴だ」と。

そんな中でも吉岡は紺野だけは不思議とよく話す関係だった。

 

適当な事ばかり言って金を借りては返さない紺野は

恋人「マリア」の話をみんなに度々自慢げに話していた。

みんなは「虚言」としか思っていなかったが

吉岡は紺野のマリア様に会わせてもらうコトに成功。

 

足に大きな傷あとがあり

片足を引きずって歩くマリアに紺野は寄り添う。

吉岡がマリアの足のケガを気にしていることに気がついたマリアは

「8階から飛び降りたんだけど、死ねなかったの」と話す。

「なかなか死ねないものよ」と。

 

だんだんと予備校にも行かなくなり、

新聞配達先の家庭の情報を集めノートにリスト化し

自分の手書きの地図を埋めていくことに没頭していく吉岡。

 

紺野もまた、マリアに夢中になり

マリアと結婚し故郷に帰ることを考え始めていた。

マリアの部屋に他にも男が出入りしているところを見た吉岡は

紺野に「マリアは他にも男がいる、あんただけじゃない」と忠告するが…

 

紺野はそれも承知だった。

「俺には一番やさしい」から、それだけでいいんだと。

彼女はこの世の苦を受け止め続けてきた人だから

自分が守ってやるんだと。

 

今の生活から抜け出そうとする紺野だったが…

 

この地域一帯の地図作り、住人のデータ収集にのめり込み

「匿名」脅迫電話もどんどんエスカレート

殺害予告や爆破予告にまで及んでいく吉岡…

 

そんな吉岡が紺野のことで

匿名ではなく直接怒りをマリアにぶつけた時

マリアの心の底からあふれ出たような悲痛な叫びを聞き

彼にも変化が訪れるのだった…

 

傲慢な目つきと脅迫電話は武器じゃなく「鎧」

吉岡の気持ち…わかりたくはないがわかる部分もあるなぁ

大学受験に失敗して「新聞配達員」と「予備校生」という肩書きの自分。

 

吉岡の紺野への口癖は「俺はあんたとは違う」

でも忙しく新聞配達員として働くうちに

どんどん「新聞配達員の自分」に支配されていく感じ。

 

自分は今現在、「新聞配達員」としてこの街に存在し、

そう認識され、住民たちからはぞんざいに扱われ見下されている。

「俺はあんたたちとは違う」

自分にとって今は通過点の底辺で、こんな街すぐに出てってやる…

と思いつつも既に抜け出せなくなっていることにも気がつき始めている。

 

だから、自分を見下してくる奴らより

高いところから見下し返してやること、

彼らが自分に対して感じた「優越感」を「恐怖」でお返ししているんだろう。

自分をバカにしてた奴が、自分の脅迫電話で震えあがっているのだから

その「優越感」と「支配感」はたまらなく心地よく

自分の劣等感を忘れさせてくれたんだろうなぁ。

 

吉岡の傲慢な目つきと脅迫電話は攻撃の武器ではなく

「ダメな自分を受け入れられない吉岡自身」を守る鎧だったんだと思う。

 

「俺はこんなに力があるんだぞ!」って感じたかったんだろうね。

 

「匿名」の凶暴性

「匿名」であることが本来の自分を離れ

「なりたい自分になる」ことを可能にしている。

 

でも「匿名」であることで

ふだん抑圧されている部分が爆発してしまう人も多い。

自分の「悪」の部分が開放され、増長してしまうようだ。

匿名で相手からの反撃も仕返しも受けなくていいから

いくら相手をボコボコにしても安心なんだろう。

 

ネット社会になって

匿名の誹謗中傷が酷く巨大に凶悪になっているように思えたけど

昔から同じようにあったことなのかも。

 

蟹江敬三さんの「紺野」が秀逸

役者ってすげぇ

蟹江敬三さんの紺野は生々しいのだ。

本当に紺野が目の前に存在するように思える。

 

不潔で髪がべたついてギラギラした感じも

19歳や20歳くらいの青年に金を借りて返さない感じも

アリアの身体をむさぼる感じも

「本物」なのだ。

 

鬼平犯科帳で見せる

「デキる男」っぷりも本物に見えたし。

 

底知れない「かさぶただらけのマリア様」

どんな男も受け入れる

どんな時でも受け入れる

だけど不思議と母性は感じない

どこまでも「女」であるマリア。

 

神秘的な美しさや

慈悲深い穏やかな表情があるわけでもない。

 

ただただ身に起こる不幸を受け入れ

今の自分を受け入れ、求められればどんな男でも相手にして

生きているマリア…強い。

 

吉岡に罵倒され

「死ねないのよ…死にたくても死ねないのよ…」というマリアのあの表情。

 

吉岡が頑なに拒否している

「ダメな自分を認める、ダメな今の現実を受け入れる」が

マリアはできているのだ(強い)

 

だから吉岡も仮面が外れて

脅迫電話中に「自分の惨めさに」涙をこぼしてしまう。

 

十九歳の「地図」の意味

なぜ吉岡は「地図づくり」に没頭したのか?

地図は上から街を眺めた構図だったから…

「神の目線」にでも立った気分になれたのかな?

 

街中の家庭の情報を入手し

「俺は知ってるんだぞ」が街を支配した気分にでも

なってしまったのだろう。

 

地図がだんだん精巧に、

そして範囲を広げていくのが

見ていて怖かった…

 

実際に新聞配達員の吉岡は「見て・聴いて」

集めた情報をデータ化してたしね。怖いわぁ。

 

知らないうちに「見られてる」って超怖いぜっ

 

どよんっとした気分になるけど

人間のこういったサイドBも常に意識しておくべきなのかも…

と思うきっかけになる映画でした。

 

では~☆

 

 

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