プロ独女のライフハックブログ

BBA独女みつまるが「今」気になることを追いかけ綴る人生冒険日記

【ドキュメンタリー】アクト・オブ・キリング(オリジナル全長版)~薄っぺらい正義感で見ると潰される映画

お題「最近見た映画」

アクト・オブ・キリング《オリジナル全長版》(字幕版)

60年代にインドネシアで行われた100万人規模の大虐殺

その実行者プレマンと呼ばれる民間ヤクザ・民兵団たちが

当時の共産主義者狩りの様子を本人たちで演じ再現している。

 

 

最初に言っておくと

「歴史の一部を切取って、過去を批判する

薄っぺらい正義を振りかざす人は心を潰される

ドキュメンタリー映画です」

私がまさにそうだったので・・・・

 

でも、拝金主義が蔓延し我利我利亡者が溢れ

差別主義に向かい日本人同士で攻撃し合う今だからこそ

見ておくべきドキュメンタリー映画です。

 ◆2時間40分のオリジナル全長版はこちら

アクト・オブ・キリング《オリジナル全長版》(字幕版)

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  • 発売日: 2014/12/17
  • メディア: Prime Video
 

 

◆2時間ほどの通常版はこちら

 

アクト・オブ・キリング(字幕版)

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  • メディア: Prime Video
 

 

 

対になる「ルック・オブ・サイレンス」を先に観ていた

ルック・オブ・サイレンス

実は私は「アクト・オブ・キリング」の後に公開され

逆サイド側から描かれた「ルック・オブ・サイレンス」の方を

先に観ていたのです。

 

その時の感想

 

dokujyolife.hatenablog.jp

 

60年代のインドネシアでの大虐殺で

罪なく殺された兄の死の真相を追う弟の

目線から当時の殺人実行者たちを訪ね話をきいていく

様子をカメラが追ったドキュメンタリーです。

 

共産主義者狩りといいつつも

その実態は無差別の大虐殺で

プレマンたちは「ひとり殺すといくら」といった具合に

河で人を始末するほど軍から金を貰えたそうです。

 

私はこちらを先に観ていたので

「あの残虐で無知でバカな殺人実行者たちめ!」

※汚い言葉、失礼な言葉すいません・・・後に自分の無知を思い知った私です

といった先入観と想いが渦巻く感情の中で

アクト・オブ・キリング」を観はじめたのです。

 

アクト・オブ・キリングの解説

f:id:mousoumajyo:20191229172504j:plain

※映画「アクト・オブ・キリング」より

 

この白スーツの男がこのドキュメンタリーのメイン人物。

アン ワル・コンゴ氏(1965年当時1000人を殺し、今でも力を持つプレマン)

 

映画の冒頭で語られた

このドキュメンタリーを見るために

知っておくべきことをココにも書いておきます。

 

1965年インドネシア政府が軍に権力を奪われた。

軍の独裁に逆らう者は共産主義者として告発された。

組合員、小作農、知識人、華僑

西側諸国の支援のもと

1年足らずで100万人を超す共産主義者が殺された。

 

まず驚くのが「西側諸国の支援のもと」という部分

そして1年足らずの間に100万人超の大虐殺であるということ。

更に冒頭のテロップは流れていく。

 

実行者は”プレマン”とよばれるヤクザや民兵集団

以来彼らは権力の座につき敵対者を迫害してきた

 

殺人者たちは取材に応じ

自らの行為を誇らしげに語った

その理由を知るため、殺人を自由に再現し撮影するよう

彼らに依頼した

本作はその過程を追い成り行きを記録したものである

 

アンワルは国のために働いた英雄として

自分の輝かしい歴史的活躍を後世に残すための

記録として再現映画をつくっているつもりだったようだ。

 

でも冒頭とラストで

同じ現場で同じ過去の殺人を語る彼は

まったく別の表情を見せる。

是非ココを見て欲しい。

 

政府と軍と新聞社とプレマンの関係

プレマンとは「自由人」という意味なんだそうだ。

何ものにも、どんなルールにも縛られない人たち。

 

当時の大虐殺の様子を語るプレマンの

アンワルの話はどれも驚く話ばかり

 

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※映画「アクト・オブ・キリング」より

 

プレマンの横に座っているのは州知事なのだ。

州知事だけでなく政府も軍の指導者も新聞社も全部が

当時も今も繋がっていて

プレマンを頼りにしているのだ。

 

新聞社が情報を集め

プレマンに共産主義者のリストを渡す

そして拷問し始末するという流れ。

 

その情報は彼らが思うままに操作できたし

新聞社のトップはインタビューでこう語った。

f:id:mousoumajyo:20191229175421j:plain

※映画「アクト・オブ・キリング」より

 

真実は関係ないのである。

更に驚くべきことは

当時のインドネシアの人々は全部知っていたのだ。

 

力あるモノに睨まれたら

悪人に仕立てられ始末される。

そこに真実は無くとも、力あるモノが勝ち生き残る。

ということをみんなが知っていたのだ。

 

今でもプレマンの力は絶大

民間ヤクザというよりも

立派な軍隊と言ったほうがいいと思う。

アンワルが関係するパンチャシラ青年団

300万人以上のメンバーがいる。

 

警察も軍も政治家も彼らに一目置く存在だ。

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※映画「アクト・オブ・キリング」より

 

街のチンピラではなく

政治の実行者なのだ。

 

「プレマンは治安も混乱も生み出せる」

政治家も実業家もこう語る。

 

つまりプレマンを使い

「恐怖」による緊張と緩和で国を運営しているのだ。

 

彼らは私よりもずっと世界の実情と政治を理解していた

私が驚いたのは

彼らが無知ゆえに残虐な行為をしていたわけではなく

世界の実情も政治も全て理解していての行動だったというコト。

 

私なんかよりよっぽど

世界の実態を把握していた。

今も強大な軍事力を持つ国が世界をしきっているのも

人を動かすものは欲であることも

正義がルールを作るのではなく

戦争や戦いで勝ったモノが自分たちに有利なルールをつくり

支配していることも

自分たちが殺した人たちが「殺すべきでない」無実の人であったことも

みんな知ってた。

 

アンワルの仲間だったプレマンは

この映画が「危険」であることも感じ取っていた。

今までの歴史の認識が180度変わってしまうぞ!

とカメラの前で訴える彼は気が付いていた。

 

プレマンたちを残酷な殺人者として責める世界の目に

彼は気がついていたが、それでも自分たちを正当化するため

カメラの前にたち当時を再現した。

 

「人殺しを責めるなら最初からやれ、カインとアベルから」

私がインドネシアの歴史の一部を切取り

プレマンを批判する気持ちで見ていることを

見透かされたようにプレマンの1人が言った。

 

当時の殺した人達の遺族に対する気持ちを

問われた時にイライラと怒りの表情で彼はこう言った。

 

「人殺しを責めるなら最初からやれ、

カインとアベルからアメリカの先住民殺しや

アメリカ軍が殺してきた多くの人たちについても」

 

私はこの言葉をきいて

自分の中にある正義感が

ものすごく薄っぺらい正義からきている

ことを思い知らされた。

 

たぶん私は彼らをどこか下に見ていたのだ。

私も彼らとなんら変わらない。

「弱い者を叩く」心で観ていたのです。

 

自分が始末した人を演じてみてプレマンの気持ちに変化が

彼が自分の輝かしい活躍を記録に残そうと

当時を再現したことで

本気で怯える女性や子供たちの姿を見ることに。

 

そして当時自分が拷問したり

始末した人の体験を再現で自分が味わったことで

彼の中で何かが変わった。

 

変わったというよりも

ずっと目を背けていたことに

飲みこまれたといったほうがいいかも。

 

冒頭で屋上での殺人を語る彼は笑顔で自慢げだったが

ラストに同じ場所で語る彼は

当時の光景を想いだし嗚咽しながら

必死に自分を保っているように見える。

 

プレマンたちが再現した当時の虐殺の様子は

とても残虐なものです。

彼らは酒と麻薬、コカイン、マリファナ、エクスタシーにより

とてもハイな状態であったそうです。

 

金と権力、我利我利拝金主義に染まる国民

インドネシアでは政治に賄賂が横行し

選挙で投票してほしければ「何かよこせ」と

普通に街の住民たちが候補者に手を差し出してくる。

 

金が人を動かし、権力を生む仕組みが根を貼っている

表側でも。

 

そうした中で人々に言うことをきかせる存在が

プレマンなのだ。

恐怖の存在が国を治めるのに欠かせなくなっている。

 

日本だって油断してたら

こうなるのかもしれない。

私が気が付いていないだけで

実は実情は同じなのかもしれない。

 

色々と考えさせられる映画です。

 

あなたは何を思いましたか?

 

では、また~☆

 

 

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