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【独女映画部】ファインダー・キーパーズ~人生を狂わす程の承認欲求!切断された脚の権利を巡る実話

お題「最近見た映画」

ファインダー・キーパーズ (Finders Keepers)

原題はファインダーズ・キーパーズですが

このタイトルだと他の作品と多くかぶってしまうため

「ズ」を1つとったようです(^^;)

 

 

日本でもニュースになったらしいのですが

私は今回初めて知りました。

 

オークションでBBQグリルを買ったら

グリルの中に切断された人間の膝から下の部分が入っていてビックリ!

ここから2人男性の奇妙な人生を変えるほどの闘いがはじまります。

 

アメリカで実際に起きた「切断された脚」の所有権をめぐる争い

の当事者2人のその後を追ったドキュメンタリーです。

 

 

 

 

「所有権」というものと

法律によって道徳的・倫理的に「当たり前」のことが

歪められていくという人間がつくるルールの欠陥

について考えさせられ、

 

「承認欲求」の根には何があるのか?

今回知ることができました。

 

 

元々の脚の持主ジョン・ウッド

 

持主という言い方も変だが

BBQグリルの中にあった左脚は

ジョンが飛行機事故により

緊急手術で切断した彼の左脚です。

 

ジョンの家は裕福で

父親は大きな家具会社の副社長で

地元でも有名なお金持ち。

 

ジョンは父とふたりで小型機で飛行中

墜落事故にあい、左脚と父を失った。

 

ジョンは病院に切断した足を骨格標本にして

自分に戻してほしいと願い出ますが

標本にするには費用がかかる・・・

脚は生のままジョンの元に戻される。

 

ジョンはなんとか防腐剤と木陰干しの処置をして

とりあえずBBQグリルの中に足を保管することにした。

 

そのBBQグリルはトランクルーム(貸倉庫)に保管されていたが

ジョンは賃貸料を払わず、預けていたモノが競売にかけられてしまう。

 

慌てた時には既に遅く

BBQグリルは買い手の元に送られていた。

 

途方に暮れるジョンだったが

ある時テレビで「脚男」と呼ばれる男が

BBQグリルを買ったら

中に入っていた脚を見つけ「話題の人」となり

見世物やグッズにして金儲けをしている姿を目にする。

 

自分の脚が見世物になって金儲けの道具にされている・・・

ジョンは自分の脚を取り戻すために行動を起こす!

 

見つけた脚の所有権を主張する男シャノン

BBQグリルを買ったのは

ガレージセールや競売品を買っては

転売商売している男シャノン。

 

元々テレビで有名になることが夢で

「BBQグリルから人間の左脚発見!」と

一躍「話題の人」として

テレビやメディアに取り上げられたことで

「これはチャンス!」とばかりにいろいろ攻める。

 

  • 見つけた脚のTシャルを作り販売
  • ラジオやテレビなどのメディア出演&自分の商売の宣伝
  • 脚を見世物として見物料を1人10ドルという商売をはじめる
  • 脚男として本を出版

 

など、「有名になるチャンス」「金儲けのチャンス」と

意気揚々と攻めまくる。

そして本人的には

「自分は有名人になる運命だ」

「俺には商才がある」

という謎の自信に満ちあふれ

これから人生が急上昇していく気分になっていた。

 

「脚の持主だ」というジョンが現れても

シャノンは動じずに「買ったから脚は自分のモノだ!」と主張する。

 

『(脚の)生みの親は彼だけど、所有者は私だ』

 

私はこれを聞いて:「ええーーー!?」ってなった。

どう考えても「自分の脚を返してくれって」って言われてるんだから

本人に返すべきでしょう!? 違うの??

 

人身売買や臓器販売の闇世界の人の主張を聞いてるような錯覚に陥った。

 

しかも買ったのは「BBQグリル」であって

ジョンはBBQグリルに関しては返してほしいなんてひと言も言っていないのだ。

 

脚に執着するふたりの泥沼化する争い

この「切断された脚」の所有権をめぐる

ジョンとシャノンの争いはマスコミを巻き込み

泥沼化していった。

 

この奇妙な争いに人々も注目するようになり

ふたりは「話題の人」となる。

 

ふたりが「脚」に執着するには理由があり、

その理由が偶然にも二人とも同じだったのです。

 

◆脚を取り戻したいジョンの父への想い

 

ジョンは成功者である父に期待された息子だった。

ジョンはそんな父の期待を裏切ってしまう。

 

入隊⇒薬物中毒⇒除隊⇒父を失望させ、更に悪化

薬中&アルコール中毒

 

一時的に良くなるも

飛行機事故で父を失望させたまま失い

そのことで自分を責めさらに

薬と酒に溺れるように・・

 

母からも見放され

姉は結婚して家庭を持っているので

援助はしてくれるものの

ジョンはホームレスのような生活に。

 

そんな時に「脚男」の存在をしり

自分の脚を晒しモノにし金儲けに道具にしている

奴がいることにショックを受ける。

 

父からもらった大事な身体、俺の脚だ!

取り戻そう、世の中の笑い者にされていることに耐えられない。

 

父への想いを胸にジョンは脚を取り戻すことを決めたのです。

自分の脚であると同時に父が自分にくれた体の一部なのです。

 

マスコミに面白おかしく取り上げられながらも

ジョンは「脚を金儲けに絶対に使わない」と何度もいっている。

 

◆父に怒鳴られ叩かれて育ったシャノン

実はシャノンの激しい承認欲求や

「脚は俺のモノ」という人格形成には

父親の影響が濃く表れている。

 

「呼吸が詰まるほど、怒鳴られ叩かれて育った」

とシャノンは語る。

シャノンの友人もあの父子関係が彼の人格に影響していると語っている。

 

シャノンもまた父に認められたくて、

だからそこ有名になって目立ちたいのだ。

世間から認められれば父からも認められると。

 

人格ということで1つ言っておくと

シャノンは本当に自分のしていることが非常識だとは

微塵も思っていないのです。

 

自分は賢い商人でチャンスを活かしただけ、

どうしてジョンが被害者で自分が加害者かのように

世間で言われているのか理解できないと言っている。

 

これも父の教え

「金になるモノはなんでも利用して稼げ」

が彼の中で最重要事項になっているようだ。

 

脚を巡り大きく変わっていく2人の人生

この「脚を巡る」騒動により

ふたりの人生は大きく変わっていく。

 

この変わっていくさまが非常に興味深いのです。

「現実は小説より奇なり」とはよくいったもので

本当にこの騒動によるジョンとシャノンをみていると

「禍福は糾える縄のごとし」という言葉が浮かんできます。

 

◆公開裁判番組による最終判決の結果

 

テレビの公開裁判番組に

「今回の判決が最終決定であり、以後何があっても再審はない」

という誓約書にジョンもシャノンもサインをし臨んだ。

 

その結果、多くの人の予想りに

「脚のジョン本人のものである」と決まった。

 

シャノンが「これは私の脚だ」と言うと

司会の判事が彼に「あなたには足が今そこにあるでしょう」

とシャノンの脚を指さした。

ここでスタジオは観客の笑いに包まれた。

 

脚は晴れてジョンのモノと認められた。

 

 

◆父も脚も失い何度も闇に落ちたジョンが得たもの

父を失望させ

父と左脚を失い

薬と酒で母から見放され

 

「脚男騒動」で有名になると

ジョンに金の臭いを感じた売人たちが

さらに寄ってくるようになりった。

 

なんとかジョンに手を差し伸べてくれていた

姉家族からも見放されてしまうジョン。

(怒った母の命令で弟との接触を禁じられたのだ)

 

ジョンは「あの事故で俺は死んだ方がよかったんだ」とつぶやく。

そうすれば家族の迷惑にならなかったはずだと。

 

最終判決を下してくれたテレビ番組の関係者が

彼の薬と酒中毒に気がつき

施設を紹介してくれたことでジョンにも家族にも変化が起きる。

 

ジョンは2年かけて酒と薬を断つことに成功した。

そして「家族」との絆を取り戻そうと行動をはじめたのだ。

何度も家族を裏切り失望させてきたので

ゆっくり、時間をかけて自分が立ち直ったことを証明していく。

 

今では母と姉家族とみんなで集まり

笑顔の溢れる楽しい時間を取り戻している。

ジョンにも自分の家族ができた、結婚したのだ(^^)

 

こうしてジョンは多くのモノを失い

生きる気さえも失いかけた状況にも追い込まれながら

今では一番大事に思ってたモノを手にしている。

 

◆有名人になったつもりが笑い者にされてたシャノン

実はシャノンの奥さんは

はじめからこの騒動がばかげてること、

夫が変な主張をしていること、

夫が世間から笑い者にされていること

これらすべてを認識していた。

 

だから早くこの話題が飽きられ

夫が勘違いしている間に静かに忘れ去られることを

願っていたのだ。

 

でも、妻の思いは夫に届かなかった。

今回の件で夫はさらに「有名になる」夢を追うようになる。

脚騒動まえは笑いの溢れる家族の食事だったのに

今では誰の笑顔もない。

 

そしてシャノンは「大統領選に出馬」を表明した。

ラジオだったかネットメディアにのせられたようだ。

 

このドキュメントを観た人たちのコメントに中に

「2016年にシャノンが亡くなった」という記述を見つけた。

どうやら持病の心臓病による死亡のようです。

めっちゃ太ってたからなぁ・・・

 

彼の望む栄華的な有名人にはなれなかったけど

こうしてドキュメンタリー映画

その姿は死後も世界に発信されているから・・・

半分は夢が叶ったんでしょうか?

 

今までの日常のささやかな幸せを失ってしまったシャノン、

でも夢に向かっていたのでそう悪くもないのか・・

 

ジョンは言う「あの騒動のおかげ、シャノンのおかげだ」と

なんとなく

この「人生は糾える縄のごとし」的な実話に

ズズーーーンと心が重くなったのですが

ジョンのこの言葉で私の心はなぜか救われた気がします。

 

「あの騒動のおかげ、シャノンのおかげだ」

とジョンは立ちなれた今の状況があるのは

シャノンが脚を返してくれなかったからこそだと語っていました。

 

ちゃんと見えてるんだなぁ。

私はシャノンのことを終始、

「とんでもねぇーヤツだ!」と思い見ていました。

 

シャノンはジョンを苦しめたんだけど

同時に長い目で見ると救うきっかけを作っていたんですよ。

このジョンの言葉もドキュメンタリーの中に生き続けるので

シャノンも少し救われる気がします。

 

シャノンも今回の騒動で1つ学んだと言っています。

「手放すことも大事」だと。

 

私の感想:承認欲求の根っこは「身近な人に認められたい」気持ち

今回のドキュメンタリーで

「そういうことなのか!」と思ったことの1つ。

 

承認欲求の根っこにあるのは

「父・母・家族といった超身近な人に認められたい気持ち」

と思うとなんか・・・なるほどと共感しちゃったり。

 

有名になって多くの人に評価されれば

身近な人に認めてもらいたくてもらえる

という気持ちって

けっこう純粋な気がします。

 

持っている常識や倫理が違うと

話し合いにならないってのがよくわかる

ドキュメンタリーでもありました。

 

人間って何なんだ!?

 

では、また。

同名のタイトルのキングの小説が気になります。

 

 

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