プロ独女のライフハックブログ

BBA独女みつまるが「今」気になることを追いかけ綴る人生冒険日記

【BBA映画部】仄暗い水の底から~感想:「幸せな家庭」という理想が人を蝕んでいく

仄暗い水の底から

有名すぎて、逆に観る気を失っていた作品…

でもアマプラで「あなたへのおすすめ」にチラチラ登場するので、

「母娘」の物語と聞いたから母と一緒に観賞してみた。

 

 

原作は「水と閉鎖空間」をテーマに書かれた短編集の中の1作だとか

なるほど“閉鎖空間”状での人の心理は興味深い…

 

仄暗い水の底から

仄暗い水の底から

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

リング&貞子でドカーン!とブームがきて

その流れでこの作品も超話題になってました。

テレビCMや情報番組でもたくさん紹介されてて

何となく「こんな話だろうなぁ」と内容が想像ついてしまったので

観てこなかった映画です。

 

でも、今自分が大人になって観ると

幽霊らしき少女や心霊現象よりも

別の「恐怖」がこの映画には描かれていると気が付きました。

 

 

映画「仄暗い水の底から」~あらすじ

離婚調停中で5才の一人娘:郁子の親権を夫と争う淑美。

親権で不利にならないように

新たらしい住まいを急いで決め

娘:郁子との新生活をはじめる。

 

淑美は自分勝手な母親に育てられ、寂しい思いをして育った為

今でも幼稚園頃に迎えに来ない母をひとりじっと待ていた時の記憶が時々よみがえる。

 

そのため、自分は「幸せな家庭」を築き

子供想いの母親になることを心に誓っていた。

ところが結婚6年目で現在は夫と離婚調停中…

今は娘の親権を争っており

娘との生活を守るため瀬尾際に追い詰められていた。

 

急いで決めた中古マンションに引っ越してみると

天井には大きなシミはあり、

そこから水が垂れてくるようになる…

 

屋上で赤い幼稚園バッグを見つけて以来

淑美は「嫌な予感」を感じるようになる。

 

郁子にもだんだんと異変が見られるように。

 

屋上で見つけた赤い幼稚園バッグが、

2年前に行方不明になった女の子の物で

その女の子は自分たちの真上の部屋に住んでいたことが判明する。

 

淑美はその女の子が郁子を狙っていると思うようになり

娘を守るために、ある決断をする。

 

「幸せな家庭」を願い「子供想いの母」になろうと誓った淑美、

両親の離婚で小さな心を傷めつつも母の前で元気にふるまう郁子、

この母娘は一体どうなるのか?

 

淑美と郁子、母子に迫る水と閉鎖空間

淑美と郁子を取り巻く

新居での新生活の環境は非常に厳しい。

 

不動産屋も管理人も

部屋の雨漏りを訴えても無関心だし

そもそもこの古いマンション(?)で

他の住民を見ないし、交流がない。

1度だけ住居人と思われるお婆さんが2人が

管理人さんの所で話しこんでる姿があっただけ…

 

郁子が新しく通う幼稚園も

どこか園長や保育士の対応が冷たく、

園で倒れた郁子を迎えに行った淑美がパニックになると

「親の離婚のせいで、娘さんは心身が弱っているのでは」と言われてしまう。

 

「幸せな家庭」を築き、子供想いの母になると誓い

理想を追って頑張ってきた淑美はどんどん母娘のだけの世界に沈んでいく。

 

世間の目は冷たく、

世間は自分たちに無関心で、

誰も力になってくれないし、

頼れる人がいないのだ。

 

郁子もまた、子供の世界といえども

「新参者に冷たい」新天地での生活の中

孤独に闘っていた。

 

母子の世界がどんどん内向きに閉じていく中

2年前にマンションの貯水タンクに落ち

姿を消した女の子:美津子が水を通して

母子の世界にひたひたと侵入してくる。

 

母子の世界が閉鎖的になり、外部と疎遠になるほど

美津子の影響が強くなるようだ。

マンションで母子の部屋に滴り落ちる水、

お風呂に溜まった黒い水、

水道から出る「臭う」水、

これらは死後に腐敗し溶け込んだ「生命のスープ」なのかも。

 

継ぎ足される秘伝のタレのように

ずっとタンク内の水の中で美津子は「在り」続けたのだろう。

 

「幸せな家庭」という形の理想が人を蝕んでいく

「幸せな家庭」という理想が

「幸せな家庭という形」を脳内につくり出し

いつからかその理想が重くのしかかるようになり

人を蝕んでいく。。

 

「幸せな家庭」という型も形もない。

ドストエフスキー曰く

「幸せ」は苦悩や苦痛とセットらしく

「幸せ」には同じだけの「不幸」が必要なんだって。

だから、「幸せだけでできた家庭」はそもそも実現できないのです。

 

自分も家族もみんな半人前の人間

だからこそ、それぞれに頑張って必死に生きている。

1日の終わりに労をねぎらい合うことができればいいじゃない。

充分、いい家族だよ。

 

親も子供も「完璧」な人はいない。

みんな半人前、半分「善」で半分「悪」だと思えば

頑張って「善」であろうとする姿を尊敬できるし

「悪」が強くなってきたら「助けが必要」のサイン。

 

人生のいろいろなところに

「理想の型」が置かれているけど

実はそれ、全部ウソだよ!

くらいの意識でいいんじゃないかとBBAは思う。

 

比べず、型にはめず、

だからこそ、他人の色々な形の生き方も認められるよね。

 

淑美が救った郁子と美津子と幼い頃の自分

淑美と美津子は心が近い、

母のいない寂しさを知っている。

子供にとってこれ以上ないほどの「深い悲しみ」だ。

 

だから美津子も淑美の前に姿を現し、

彼女に付きまとっていたんだろう。

 

美津子の心に共鳴するからこそ

美津子の過去の映像が見えたんだと思う。

 

郁子を救うために「犠牲になった」と言われる淑美ですが

私は淑美は「郁子、美津子、幼い頃の自分」という

幼い娘3人を救った母親なんだと思っています。

 

これが母親の愛情なんでしょうね…

独身BBAには未知の世界、

娘として母に感謝するばかりです。

 

最後に「私がママよ」って美津子を抱きしめるシーンがあります。

アウシュビッツのドキュメンタリーで生き延びた方の言葉ですが

解放の時、「抱きしめられて、自分の存在が世界に認められた気がした」と。

ハグには、「生きててもいい存在なんだ」「認められた存在なんだ」って

感じさせてくれる力があるんですって。

 

母親の愛を探し求めていた子が

母に優しく抱きしめられたら

そこにはもの凄い安心と幸福感が生まれるのでしょう。

 

ハグ大事なだぁ

 

 

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