日本の巨大建築物が持つ素晴らしい空間美…圧倒されます。
遺伝子操作で感情を失くした人間たちが住む未来都市が描かれている。
日本ロケが話題になった作品でもあります。
⇓
途中まではずーっと
「感情のない人間の共同体」の世界ってのに
湧きあがる疑問だらけだったのですが
後半から、何を描いた映画なのかやっとわかった…
- 映画「ロスト・エモーション」あらすじ
- 安藤忠雄&日本建築の圧倒的近未来空間
- ペッパー君のプログラマーの偉大さを知る
- 未来のエデンの園、アダムとイブの物語
- 「欠陥品」を隔離する施設DEN
- 感情を抑制するから、感情は暴走する
映画「ロスト・エモーション」あらすじ
人類史上最大の戦争によって
陸地の99.6%が破壊された近未来…
生き残った人間たちは
「人類を滅亡させる原因は感情だ」と考え、
遺伝子操作を施した『感情のない人間の共同体』:イコールズをつくった。
そこで暮らす全ての人間は手首の皮下にチップが埋め込まれ
職場から居住空間、食事に至るまですべてが管理されていた。
愛情や欲望など感情を発症してしまった者は
初期ならばSOS症患者として投薬治療が行なわれる。
だが症状が進んだ者は「欠陥品」とみなされ
DENという隔離施設に送られ安楽死させられる。
共同体の中でも人気の出版部で働くサイラスは
自分の中に「感情」が動き始めていることを感じる。
そしてサイラスは同僚のニアが気になり出し
彼女を目で追うようになる。
ニアもそんなサイラスの変化を感じ取っており
2人はお互いに惹かれあい、人目を忍んで会うようになっていく。
サイラスはSOS患者として治療を受けつつも
「この感情を失いたくない」と思うように…
サイラスはイコールズの中に
同じように感情を持つ仲間と繋がりはじめ
イコールズ外界の島でSOSの人たちが暮らしている島の存在を知り
ニアと二人、感情を消される前に島への脱出を試みる。
ところが
島への脱出直前にニアに「受胎命令」が!!
SOSを隠していたニアだが
SOS症患者であるとわかれば受胎候補から外されると思い
病院へ行ったのだが…そこで妊娠している事が発覚
ニアは捕まり中絶手術が強行されようとしていた。
サイラスとニアは無事ふたりの愛を守り
イコールズから脱出できるのか?
ニアのお腹の子はどうなってしまうのか??
安藤忠雄&日本建築の圧倒的近未来空間
この映画の撮影に使われた日本の建築物
などがロケ地
淡路夢舞台と大阪府立狭山池博物館…安藤忠雄建築の世界を堪能できます。
ほんとに建築というのは巨大な空間アートであり造形美だなと思う。
BBA個人的には『長岡造形大』が素敵だなとうっとりしておりました。
今度、旅の目的地にしたいわぁ
⇓
MOA美術館 | MOA MUSEUM OF ART | MOA MUSEUM OF ART
各大学は学食等一般開放されているなら
是非伺いたいです(‘v‘)
ペッパー君のプログラマーの偉大さを知る
映画の中でサイラスやニコなどのSOS症患者以外の
「感情なき人達」の様子がどうも予想と違い
そこが気になって前半はずーっと
『感情なき人間』について思いを巡らせておりました。
BBAの予想では
ロボトミー手術によって思考・感情を奪われた様な状態になるか、
脳の計算力は残して感情だけがないなら…ロボットに近くなるかと。
ロボットの中でも「Pepper君」の様になると思っていたのです(^^;)
相手の状況、感情とかまったく関係なしに
「じゃんけんしましょう」とかいっちゃう感じの交流の仕方かと…
別に相手に興味も感心もないけど
センサーで感知したから
とりあえず接触してみるかぁ~って感じ(社交性あるバージョン)
んで、ホントのホントに「感情ない人間」ならば
他人に興味を持たない気がしたので
ほぼ交流しないし無関心だろうと思って見てたんですが
非社交的なのにみんな他人のことすげー観察しまくってるんですよ!!
監視しまくっているに近い。
んで、怪しいと言わんばかりの目つきで見たり
めっちゃ感情有りまくりじゃないか~状態…。
どうも陰湿な監視社会になっているんですよね(^^;)
Pepper君の陽気さってか
無神経にカラッとしたコミュ力って
とてもすごい発明だなと思いました。
人の心に寄り添うユーモアとちょっとの温かさがあるよね。
未来のエデンの園、アダムとイブの物語
前半はずーっと「感情のない人間」というわりに
みんな感情ありありやんけ!でモワモワしており
「一体なんなんだ、この話?」と思って見てました。
が、後半になって
ミアが妊娠したあたりから
「これ、エデンの園からアダムとイブが出ていく話や!」
と、やっと理解したのです。
管理された楽園で
なんの疑いもなく暮らしていたサイラスとニアが
「感情」を手にし、愛し合い
『この感情は尊いものだ』と自分で判断するようになり
この間違った楽園から出ていこうとする話なのです。
ってことは
「知識・知性」と「感情」は同等に重要ってことですよね。
それらが揃ってこそ「神のペット」から
「自立思考する人間」になるわけですもの。
エデンの園であるイコールズでの生活が
色のない世界だったのが印象的…。
服の色、画面をしめる色に注目してみると面白いです。
受胎令はマリアのことを暗示しているのでしょうか?
「欠陥品」を隔離する施設DEN
SOS患者とは
- ステージ1⇒集中力の低下、光への過敏症、痛み、感情の高ぶり
- 進行すると徐々に感情が強くなり、情緒不安定に
- ステージ4⇒カオス状態となり生産的な人間でなくなる
ステージ4でDENへ隔離
SOS重症者=欠陥品とされ
DENへ送られ、隔離
DENに隔離された者の半数は「自殺」
もう半分は電気ショックによる安楽死処分がなされる。
半数が自死を選ぶのは、DEN側が推奨しているからですって…(闇が深い)
注目すべきは
“生産的な人間でなくなる”=欠陥品
という価値観!!
感情を抑制するから、感情は暴走する
感情を抑制する薬の開発が進むんですけど
実はもうイコールズの中は
感情が芽生えつつある人だらけ…
遺伝子操作したって無理やで!
東洋医学によれば脳以上に「感情」面は
五臓が担っていますからね(^^;)
BBAの認識では
人間から脳と五臓六腑をとり、
更に血を全部抜かない限り
「感情無し人間」は無理なはず。
人間は全身を使って「感じ」、
思考しているのです。
記憶についても全身で行っている。
細胞の一つ一つに記憶が刻まれてる。
だから、人間のまま感情を抑制し続ければ
その反作用で感情は暴走するのは至極当然に思うのよ。
人間が全身で感じ、全身で思考しているというのは
最後に二人が手を重ねて、思いを通じ合わせているシーンが象徴的。
静かな映画ですが
ニアの恋してからの強さと
サイラスのちょっとPepper君似な部分好きっす
あと、建築の魅力を堪能できる作品よ。