「左の御みづらに刺させる湯津々間櫛」なぜ左だったのだろうか?
古代日本の智の探求
日本語のヒビキの神秘構造
日本神話の神名・地名・事名に込められた「真理の智」
を追っている私です。
では、古事記の解読の続きへ
「還る為に黄泉神と交渉してくるから、しばしお待ちを~その間、私を決して覗き見てはなりませんぞ!」
っていわれ待っていたイザナギ命ですが…
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待ち難ねたまふ。故 左の御みづらに刺させる湯津々間櫛の男柱一箇 取り闕きて、一つ火燭し入り見たまふ時に、うじたかれころろきて、頭には大雷居り、胸には火雷居り、腹には黒雷居り、陰には析雷居り、左の手には若雷居り、右の手には土雷居り、左足には鳴雷居り、右の足には伏雷居り、併せて八の雷神成り居りぬ。
(「古事記」より)
ものすごく気になる描写が並んでいますが、まずはイザナギ命の左の御みづら(左の耳上あたりにわらげた髻に挿された「湯津々間櫛の男柱一箇」という部分に触れておきたい。
わざわざ「左の御髻(みみづら)」って書かれているから「左に束ねた髪」に挿された櫛である点が重要なんだと思われます。
日本では昔から「髪」を特別視していた感がありますので「髪=カミ(神霊力の現れ)」の意があるのかもしれませんな。
平安時代なんかは「美しい髪」が美人の条件だったようだし、「艶やかな黒髪」が人を魅了する・惹きつける力があるんでしょうな~…「黒×光」凄く不思議な組み合わせに思えませんか?
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”光輝く黒髪=光輝(陽)と真っ黒(陰)の完全調和の美”
を表しているのでは!?
髪が内側から湧く神霊力の現れ(塊)だとして、次に気になるのが束ねた髪に挿されていた「湯津々間櫛」です。
イザナギ命も髪飾りしてたんか!?
という純粋な驚きもあるのですが、「髪飾り」以上の意味があるんでしょうな。
神霊力の塊である髪はその結い方「結髪の形(形状)」が「印を組む」ような作用があったのではなかろうか?
と、私は考えております。
つーことは現代も髪の結い方(形)になんらかの作用が発せられているはず。
その結髪でつくる「印」(魔法陣)に櫛も重要な働きをしていたんでしょう。
「湯津々間」の櫛ってのはたぶん目の細かいツゲ櫛みたいな歯の髪飾り櫛だと思われます。
んで、この櫛の両端にある太い歯が「男柱(ほとりは)」なんです。
イザナギ命がこの「男柱一箇」をとり、火を燭したことから
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ほとりは=火(炎)とり歯(端・波)
ってのが本来の意味かもしれませんな。
左⇒ひだり⇒「ヒ」足り⇒火たり・陽たり…
「左」って熱エネルギーを錬成できるんか??
(つづく)