あの時、それ以前から「彼の世界」はガランドウだったのかもしれない。
【映画 暗殺の森~感想】
原題:体制順応者
この原題が見事に主人公がどんな人物かを表現しております。
主人公が人生における「自分という芯」を失ってしまったのにはちゃんと理由がある。
子供の頃に社会の歪みや大人の汚さや 子供たちの邪悪さをすべて体験してきたことと、その経験の中で「罪」を背負ってしまったからです。
だから余計に「社会の為、社会正義の為に働く自分」に人生の・存在の価値を見出していたのでしょう。ただ彼が従う社会で正義は「その時の社会体制」に依存するため、彼自身の深い政治理念も信念もないようです。
ただこの青年の「社会正義」や「体制」に従属することで、自分の正しさや存在価値を認識し安堵する「主体性・自主性・信念・個性の無さ」っていうのは、この世界に生きる大衆化し、社会政治体制に流される我々をウツシた姿でもあるのかも。
あの少年期にすべてが壊れてしまった為か、
主人公の青年の感情は死んでしたったよう…だったし、
愛情も「その時の欲情の火」のようなものだったし、
彼と結婚した数年後の「かつてはあんなに明るき天真爛漫だった妻」の姿が「彼のウツシ」のようで。。。監督、エグイって!(と思った)