恐ろしい、けっこうリアルに恐ろしい話じゃないだろうか。
辛い現実から逃れるために酒を飲み、記憶をなくしてしまう。
記憶に無い間の自分の行動をどこまで信じられますか?
原作はこちらの小説だってよ~
なんで「ガール」なのか?
映画を観ながら考えてみてほしい作品です。
◆映画:ガール・オン・ザ・トレイン~あらすじ
毎日同じ通勤電車に乗り
別れた夫が新しい妻と暮らす家(元は自分が暮らしていた家)を
車窓から覗き見ることがやめられないレイチェル…
レイチェルは長い結婚生活の中
夫との間になかなか子供ができないことで悩み
酒を飲んでは暴れ、記憶をなすようになり
遂には彼の上司の家でのパーティーで暴れ
夫は会社を首になってしまい、これが決定打となり離婚。
夫には新しい妻と生まれたばかりの子供がいる、
自分が持てなかった「夫の子」と自分が失った生活への思いに
引きずられるように彼の家族へストーカー行為をしてしまうレイチェル。
そんな彼女はある日、
電車の車窓から近所に暮らしていた憧れの夫婦の奥さんが
夫とは別の男と抱き合いキスしている姿を目撃してしまう。
憧れてた気持ちを酷く裏切られた気になったレイチェルは
あらゆる怒りの感情を不貞妻メガンに向けてしまう。
しばらくするとメガンは姿を消し、夫から捜索願が出されニュースにもなっていた。
酒に酔いメガンを付け回していたレイチェルは朝目を覚ますと
服や手に血をつけていたがメガンに接触後の記憶は失っていた。
警察の捜査の手がレイチェルに迫る中
彼女はメガンの帰りを待つ夫へ「妻の裏切り行為」を教えに行く。
メガンの失踪がレイチェルと元夫トム、彼の新しい妻アナ、
そしてメガンの夫を繋げていき、思わぬ現実が見えてくることに…
※以下、ネタバレありの感想・考察となります
◆幻覚と現実と記憶の間で揺れる女たち
彼女たちが見ていた「現実」が徐々に姿を変えていきます。
- 不妊から酒浸りとなりすべてを失ったレイチェル
- 離婚後すぐにレイチェルの元夫と再婚し子供を産んだアナ
- 「近所に住む理想の夫婦」に見えたメガン
それぞれに「女として悩み」を抱え苦しんでいました。
「不妊」「不倫・妊娠」「子を失った過去・妊娠の恐怖」
加えて『支配的な夫』という恐怖と不安…
このような中で彼女たちは
見たくない現実から目をそらし、何かに依存し、
なんとか「幸せ」の形を保とうとするのですが
どんどん失われていってしまうのです。
ホントに3人とも
幻覚と現実と記憶の間で不安と恐怖を抱えて揺れ続けている。
最終的には「夫」や依りかかっていた「男」に向けていた目を
自分に向け直すことで「解放」されていきます(;;)
◆なぜ「ガール」なのか?
出てくる3人の女性はみんな大人の女性です。
結婚も経験し、自分の家庭も持った大人の女性達。
電車にいる女性はレイチェルだけですが
車窓から見える家を眺めては勝手に妄想を膨らませ
現実を見ていた彼女はまさに「現実を知る前の少女」ってことなのか?
メガンも17才の頃の記憶に囚われていたし、
アナもトムが女好きで社会でも有名なクズと知りながら
レイチェルから奪い今は妻の座に囚われてたし…
みんな実は年齢は重ねていても
「少女のまま」で精神的に自立ができていないということかも。
守ってくれる、愛してくれる「夫」「男」に依存しちゃうよね。
ただ、現実が見えてからの「女」は強かったっす!
やっぱ、大人の女は超現実主義なのかもしれません。