そういうことか!? この息苦しい社会の処世術がたくさん込められている。
映画のラストで印象がガラッと変わり、
その後よ~く思い出してみると映画に込められたメッセージに驚愕した作品。
映画はダーク絵本的な雰囲気で
映像はとてもダークに美しいです。
映画の最後の1シーンで
これまでの解釈がガラッと変わるので
ちょっと混乱した作品です。
とにかく主役の女優さんが
とんでもなく美しい!
こんなに顔が整った人っているんだぁ・・・ってうっとり
では、見どころと
この作品に込められたメッセージ考察を
書いていきます。
- 先祖代々暮らす屋敷を守る双子の姉弟の物語
- 考察①エドワードは実は既に死んでいる?
- 考察②影ある美女に気をつけろ~優しい人ほど搾取される
- 考察③男社会で窮屈に生きる女性へのメッセージ
- 最も意志の強い者が生き残る
- 原題:The LODGERS
先祖代々暮らす屋敷を守る双子の姉弟の物語
大きな古びた屋敷に暮らす双子の姉弟
4年前に両親を亡くして以来
弟のエドワードは「ひきこもり」
姉のレイチェルはこの屋敷から逃れたがっている。
◆一族が200年暮らすこの屋敷には3つの掟がある
- 0時になる前に眠りにつかなければならない
- よそ者を家に入れてはならない
- 姉弟は離れてはならない
この掟は子守唄のようになっており
子供達は歌で覚え込まされているようです。
その歌の最後にこうある
「よき姉、よき弟~♪
ふたりの血が私たちのものである限り
私たちは下から見守ることでしょう♪」
◆0時、彼らがやってくる
エドワードが怯えながら
「0時になると彼らがやってくる」
というように
この屋敷は0時になると主が変わる。
0時になると床下の水中にいる人々の屋敷になるのだ。
◆屋敷を守っているようで囚われている姉弟
姉レイチェルは「私たちは呪いで生かされている」といい
弟エドワードは「我々に希望なんてない」という。
ただエドワードはこの家の掟に従っていれば
「彼ら」が守ってくれると信じ、そこに依存している。
ひきこもって何もしないし
ずっと姉の動きを追っていて姉にも依存中。
◆18才になり、もう1つの一族の掟の期限が迫る
18才になった双子に
この家の伝統のしきたりの「使命」の期限が迫ってくる。
この家には代々男女の双子が生まれる。
この家に生まれた双子は夫婦となり
双子を産むという使命がある。
このしきたりが守られる限り
この家の先祖たちは皆地下の水の中で
永遠に存在し続けられるということらしい。
エドワードは姉とそうなる気満々だけど
姉の方は「絶対に嫌!」なのだ。
◆レイチェルの前に表れた義足の美青年
日に日に鬱々としていく弟、
日に日にレイチェルに「しきたり」を守るよう迫ってくる一族の亡霊、
一家の財政は破綻しており、財産を処分するよう迫る弁護士、
村でも浮いた存在の「お屋敷の双子」を見る村人たちの目、
全てにうんざりして
ここから抜けだすことを考えるレイチェルの前に
あらわれた戦地で右足を失い村に戻ってきた元兵士の青年だった。
青年は美しいレイチェルにひと目惚れし、
レイチェルもまた彼に惹かれていく。
彼の存在が双子に不穏な空気を呼び込むことに。
考察①エドワードは実は既に死んでいる?
私の考察を勝手に書いていきます。
レイチェルと違ってエドワードはその存在が酷く不安定なのです。
時々エドワードの姿は「水中の先祖たち」と同じようになるのです。
常に青い顔色に
うつろな表情
そして「屋敷から出られない」という謎。
※「ダーケスト・ウォーター」より
彼が屋敷に捕まえペットにしたカラスと
母の鳥かごにあった鳥の死骸の骨の2つに注目して見てね。
義足の青年とレイチェルの会話にも
「無いはずの右脚の感覚があって、まだ足があるように感じるんだ」
というシーンが印象的なのもエドワードの存在に通じるのかと。
エドワードは両親の最期を湖で見て以来
ひきこもっているのですが
その時に実は・・・
母を助けようとして死んでしまったのかと。
ただ、自分が姉の側にいないと
「掟としきたりを破ることになり、姉が危ない」
との思いから、本来夜しか動けない体で
昼の世界もむりして屋敷に姿を見せている気がします。
エドワードは社会や家系、家に縛られる
強さを求められるけど自分の弱さに絶望している男性の象徴なのかも。
何かに従うことで
何かに守ってもらおうと
自分で生きる意志がないため
半分死んでしまったように描かれているんだろう。
考察②影ある美女に気をつけろ~優しい人ほど搾取される
私はこの映画の後半の展開に「???」
ええええ??と思いつつ
最後のレイチェルの屋敷を見上げてからの「微笑み」を
みてゾッとした。
レイチェルに恋して彼女の身代わりになった
義足の青年があまりにも不憫で不憫で(;;)
だから「私を助けて」って言ってくる
弱そうに見える美女には気をつけろ!って
言ってるのに・・・恋は盲目
ちなみに、青年の母も「レイチェルに近づくな」と
息子にきつくいっていた。
最後のレイチェルの笑顔を見るまでは
彼女も彼に恋してたし、初恋なんだろうなぁ・・って思ってたよ。
でも最後の笑顔をみてわかった
彼女は自分への好意を持つ、正義感の強い、そこそこイケメンを
上手くこの屋敷脱出に利用したのだ。
「二人では逃げられない」と悟ってからの彼女・・
その前に彼にこの屋敷の幻想を見せていたのも彼女でしょう。
考察③男社会で窮屈に生きる女性へのメッセージ
最後のレイチェルの笑顔を見て
これだから「したたかな美人は・・・」と
思っていたのですが
その後、いくつか引っかかるシーンを思い出しながら
「あっ!」となった。
1920年ころの英国領での話ですが
非常に女性の立場が弱く描かれており
年頃の女性は村のガラの悪い男たちに
常に狙われており、性的な相手をさせられている様子。。。
落ちぶれて家の財政が厳しいレイチェルに
弁護士は「金持ちの男と結婚するしかない」とアドバイスしながら
イヤらしく彼女の手を触る・・・
家に縛られ
家族に縛られ
しきたりに縛られ
女というだけで日々危険を感じる
そんな時代・男社会を生きる女性達に
レイチェルを通して教えてくれているのかも。
「男の力を利用して、自分の思い通りに生きろ」
レイチェルもかなり大胆に青年を誘っているのですが
こういった女性たちは実は男社会で生き抜くため
男の力を使って政治をしているのかもしれません。
「諦めるな、賢く生きろ」
ってことっすかね?
どんな状況でも、諦めず周囲にあるモノすべてを利用して
賢く切り抜けろってことかな。
戦い方的には
「イコライザー」だよね。
最も意志の強い者が生き残る
結局はこれ。
そして「意志の力」でいうと
覚悟した女は相当強い!
ありがとうレイチェル。
いいモノ見せてもらったわ。
彼女の美しさも最高でした。
※「ダーケスト・ウォーター」より
原題:The LODGERS
原題が壮大なネタバレになるためか
邦題が「ダーケスト・ウォーター」になっている。
「汚れた血」という印象を前に出したかったんかな?
原題から考察すると
この日中の屋敷の主の双子こそが
この屋敷の「下宿人」だったということかも。
水中の屋敷のつくりにご注目よ
とにかく美しい絵本みたいな映画です。
では、また~☆