たぶん本当は「感動的でいいお話」なんだと思う。
でも、根本的な問題の部分に全然改善の兆しが見えず
なんか心にズーンッとくる映画です。
実話ベースの話しだそうです。
映画「ひまわりと子犬の7日間」~あらすじ
務めていた動物園が閉園となり、保健所に勤務することになった神崎彰司(境雅人)
同じ動物園に務めていた妻との間に小5の娘・里美と小1の息子・冬樹がいる。
5年前に交通事故で妻を亡くし、以来自分の母の協力を得ながら
子育てと慣れない仕事に奮闘中だ。
動物好きで動物園に務め飼育員をしていた神崎にとって
保健所で命の期限が迫る動物たちの世話は辛い事の方が多い。
「7日間」の保護期間を過ぎた犬たちの殺処分も
神崎自身がそのスイッチを押さねばならないのだ。
今の仕事のことで神崎はもう1つ気の重いことがあった。
子供達は父の仕事の「内容」を今は知らないが
いつか「殺処分」のことを知ったらショックを受けるのではないか?と。
そして、その恐れは現実に…娘は父を拒絶。
ちょうどそこころ保健所に野犬の母子がたちが収容されてきた。
子犬を守るために必死な母犬は人間に懐こうとせず牙をむき唸る。
この母犬が人間に牙をむくのには、過去に受けた人間の愛情と非情にあったのだ。
ギクシャクした父娘関係の中
ふたりの仲を心配した幼馴染に職場に連れてこられた娘・里見から
「あの母子犬たちを引き離さないで、あの子達を殺さないで」と懇願され
神崎は「あの母子犬は守る」と約束する。
しかし、人間に懐こうとしない母犬、迫る命の期限
神崎は苦悩の中、微かな希望を胸に必死に奔走するのであった…
※以下、ネタバレ有の感想となります
◆社会の闇~身勝手な人の分まで心ある人が苦悩してギリギリ保たれる「社会秩序」
この映画は「神崎家」と「母子犬(ひまわり一家)」だけに
焦点をあててみると「感動の良い話」になると思うんだけど
なんか、やっぱり根本的大問題が未解決であるため「モヤ」と感が残ります。
映画の中で描かれている「自分の都合で飼い犬を捨てる人達」の存在、
「もう老犬だから」とか「この犬は病気だから」って
”保健所職員に引き取りに来させる”んですよ、電話1本で…
そんで保健所職員である佐々木(若林君)がムッとして「家族でしょ」って怒ると
「そのために市に税金はらってるんだ!」って言い返してくる、奴らなんすよ。
ここ、この「自分勝手に飼い犬を捨てる人たち」がいなくならないと
殺処分は永遠になくならないのではないか…って思うとモヤモヤが残るのです。
なんかね、自分勝手な人達が壊していく分も
心ある人達が苦悩してなんとかしようと必死になることで
「社会善」「社会秩序」がギリギリ保たれているんですよね。
そこをバン!と叩きつけ見せられたようで心にズンときます。
◆光る俳優陣:夏八木勲~若林君とでんでんコンビ
境雅人さんは優しいパパ役もちろん似合ってました。
が、私が心惹かれたのは
- 無気力風青年の若林君とベテラン職員でんでんのコンビ
- いぶし銀の存在感~夏八木勲氏
ここです、マジで光る俳優陣って感じでした。
でんでんと若林君のベテランと無気力新人コンビは
ドキュメンタリーくらいリアル感あったんだよな~不思議と。
無気力に見えて、動物たちへ情けと身勝手な人間たちに怒りを抱える青年役に
若林君がピッタリ過ぎて驚いた。
「必死になるってかっこ悪い」風な思考が演技からダダ漏れで演技の天才か!?と。
夏八木勲さんはね、存在感と重厚感が凄いんすよ。
思慮深く無口だが優しい田舎のおじいちゃんを演じつつも
昭和の男の風格が…暗いシーンでも夏八木さんは
ろうそくの炎を背負ってるかのようになんか存在感で光っているのです。
なんとなく時代劇での夏八木勲さんを見たくなった。