アサドがどんどんかっこよくなっていく…
カールがどんどん心配になていく…
ハードボイルド刑事ドラマ「特捜部Q」シリーズ!
第3作目をやっと見ることができました~
BBA絶賛のハードボイルドおじさん刑事映画
「特捜部Q」シリーズ、これまでの感想はこちら
⇓
今回は宗教・信仰とは何か?
それらは人に何をもたらすのか?
非常に興味深いテーマをついています。
「神なんて信じていない」カールに悪魔の子が言った言葉が印象的…
※あらすじ以降、ネタバレありです
- 「特捜部Q~Pからのメッセージ」あらすじ
- ポールとトレクヴェ兄弟とエホバ信者の両親
- 寡黙な農夫イーリアスとカール
- カールとアサドの信仰に対する意見の対立
- 悪魔の子vsカール
- 今回、非常に神の姿が重なるアサド
- カールの涙
「特捜部Q~Pからのメッセージ」あらすじ
未解決事件を扱う特捜部Q
カールは心身ともにボロボロになっており
情勢命令で休暇中…
そんな中、アサドと秘書のローセの元に
新たな捜査依頼がやってきた。
退役軍人が遠泳中に海で見つけたボトル
その中には「助けて」と血文字で書かれた
メッセージカードが…
アサドとローサは
かなり前に書かれた大部分が消えかけている
この助けを求めるメッセージを必死に解読
- 「僕たち」と書かれていること
- 「エホバの証人が救ってくれる」という一文
- 筆跡から子供の字であること
- 手紙を書いた子供の名前の頭文字が「P」であること
などを読み取り
過去10年で行方不明になった子供の調査と
血文字から血液鑑定へと操作をすすめる。
アサドは精神的に弱っており家に籠りがちになている
カールを捜査に復帰させるため迎えにいく。
捜査がはじまるとカールの鋭い洞察力により
7~8年前に行方不明になった「エホバの証人」信者家族の幼い兄弟
ポールとトレクヴェにたどり着く。
弟トレクヴェの現住所を訪ね
兄弟に何があったのか?当時のことを訊ねると
エホバ信者を狙う誘拐犯の存在が見えてくる。
そして捜査が進む中、
田舎の信仰心の熱い村「神の弟子の教区」で
新たな誘拐事件が起きる。
イーリアスは生活のため美しく広い畑を売却し今は雇われ農夫
教団の会計係の妻と幼い2人の子供と寝たきりの父を守ってる。
教団の伝道師として教会で知り合ったヨハネスだった。
誘拐犯ヨハネスから電話で身代金要求と
「警察に言えば子供たちの命はない」と
脅されていたイーリアスだがカールとアサドの説得に
彼らを信じて捜査協力することに。
犯人と特捜部Qの壮絶な闘いがはじまる。
子供達は無事なのか?
イーリアスはどうなってしまうのか?
カールとアサドはこの連続誘拐殺人犯を止められるのか?
ポールとトレクヴェ兄弟とエホバ信者の両親
ポールとトレクヴェ兄弟は7~8年前に誘拐監禁された。
弟のトレクヴェは助かっているが、今は薬に溺れている。
兄弟の誘拐監禁事件後
彼らの両親は睡眠薬を大量に飲んで亡くなっている。
カールとアサドを一度は拒否したが
トレクヴェはふたりに誘拐された時の話を打ち明た。
兄弟はどこともわからない場所で鎖に繋がれていたという。
工場のような金属音が常時鳴っていたその場所で
ふたりを誘拐した犯人の男はハサミでポールを殺し
その様子を弟にみせたという…
なんとか助かった弟トレイヴェは
このことを親に話したが
「エホバに怒られる」と警察に届け出ぬままになったという。
ーーーーなんで?怒られるの?(BBAの素朴な疑問)
外の悪に触れたってことで怒られるの?
血を見たことがいけないの?
困難な時に救ってくれるのが神や信仰じゃないの?
「エホバの証人」について、ほぼ知らず
“輸血を拒否する”とか熱心な信者のコミュニティといった
イメージしかないのでBBAには疑問だらけです。
でも映画は先に進む
とにかく、犯人に脅されたから以外の理由もあり
「エホバの証人」信者は警察に届け出ないそうです。
ちょっと調べたところでは
彼らの信仰によると世の中は
国も政府も人々も悪に支配されている…ってことなので
警察も悪に支配されている組織の1つという認識なのかも。
寡黙な農夫イーリアスとカール
イーリアスの妻は非常に信仰心熱いのですが
どうも彼自身は「たまたまこの地に生まれた」人であり
苦しくなる一方の生活という現実に「神の救い」は信じていないように見える。
でもアサドのことを(たぶん)異教徒という理由で
家に入れることをはじめは拒んでいた。
無骨で無表情(表情が乏しいだけ)で
家族のために子供のためにすべてをなげうったり
命の危険も顧みず飛び込んでいく姿は…カールに似てるんですよね。
その行動はどこまでも正義と自己犠牲の実行なんですよ。
行動にその人の「信念」が現れるという点で
カールに似ている信念の持主だとBBAは思った。
カールとアサドの信仰に対する意見の対立
シリーズを見ている人ならわかっていると思うが
カールは神を信じていない。何も信仰していない。
だからこそ今とても精神が弱っているのかもしれないけど。
他人の信仰にも興味はないであろうカールが
今回、アサドの信仰について触れたことからちょっとした議論に発展。
人の信仰に口を出すのはタブーだが
カールはそれも特に気にしていないようだ。
◆カールの意見①
「信仰は単なる一過性の悪習かと、喫煙などのように」
こんな風に淡々と思ったままをアサドにぶつけていた。
カールとしては アサドのように聡明な人間がなぜ神を頼るのか?
素朴に疑問だったようだ。
◆アサドの主張①
「信じているのは偉大な存在」
死後に天国に行けるか?ではなく
心の安らぎを求めているだけで
奇妙な行動に走る気はありません!
◆カールの意見②
アサドの信仰に対する意見を聞いて
カールは更にこう言いかえす。
⇓
「だが殺しあっている」
信仰を持つ人たちが信仰故に殺しあっている
心の安らぎはどこに??
「真実は単純だ」
この言葉…すべては行動に現れるということだろうか。
この言葉が後半にグッと生きてきます。
◆アサドの主張②
変な考えではなく、
大勢が共有する「信念」
複雑なんです。
このふたりの語り合いが重要な部分の気がします。
私も子供の頃から疑問に思っていた。
どうして信仰心が熱い人たちが殺しあうのか?と。
信仰って「愛と平和のためにあるんじゃないのか?」と。
悪魔の子vsカール
誘拐犯ヨハネスは、子供の頃
エホバの証人の狂信者である母に虐待され、
信仰を押し付けられて育った青年だ。
彼には姉がいて、母の暴力から弟をかばい
母に薬剤を顔にかけられ失明と酷い顔面火傷を負っている。
姉が視力を失い、光を失った時
彼もまた光を失った。
光を失った少年の元にやってきたのは「悪魔」だった。
彼は悪魔の子となり
寝ている母をハサミで何度も刺し殺し自由になった。
「一番必要な時に降りてきてくれて、弱い私を強くしてくれた」
だから彼は悪魔の子として
神を信じる者の信仰心を奪っているのだ。
子供達を奪い、神に失望させることが狙いなのだ。
そんな悪魔の子が目をつけたのがカールだった。
「お前の信仰心を奪ってやろう」と犯人はカールに言う。
私は「残念!カールは神を信じてないぜ」と思ったし
カールも神を信じていないと言ったが
その後、悪魔の子は驚くべきことを言ったのだ!
『お前は他人の命を救ってきた、一番の信者だ』
信念は行動に現れてたぁぁ!!!
でも、これはカール自身の信念で
「信仰」とはまた違うような??
悪魔の子を名乗る犯人からすれば
自分の命をなげうって他人の命を救ってきた行為は「善行」ってことか?
↑
この辺の言葉や認識のゆらぎが
悪魔の子の最期のシーンに大きく影響している
今回、非常に神の姿が重なるアサド
今回は2つのシーンでアサドが神っぽい姿を見せております。
神の代理人とでもいうのかしら?
イーリアスが病室で最期に握っていたのはアサドでした。
アサドに見守られながら息を引き取ったのです。
この時の画が非常に印象深いのです。
アサドが信仰に求めた「心の安らぎ」がそこにあったようにみえた。
アサドがイーリアスに最後「安らぎ」を与えたようなシーンだった。
もう1つは悪魔の子と闘うシーンです。
腕や身体をハサミで刺され血を流しながらも
悪魔の子の顔を海に沈めるシーン…
悪魔と闘う神のようにも見えたし、
「信仰故に殺しあう人」にも見えた。
⇓
でも、このシーンも実はアサドによる「癒し」かもしれない。
悪魔の子と自分を信じながらも
無力に死んでいくヨハネス(トマス)を
その虐待いよりねじれた信仰から解放してあげたようにも見える。
イーリアスの村での洗礼シーンと
「水につけられた顔」が重なるので。
悪魔のような母からやっと解放されたのかな。
カールの涙
少年の葬儀に出席したカールが
讃美歌の中 涙をこぼすシーンがある。
彼は内にためこんできた感情を解放できるように
なったのかもしれない。
精神的にギリギリだったカールが回復に向かうかも
そんな希望が見えたラストだった。
最後の子供達を見つめながら
アサドにこぼした言葉もそんな兆しを見せてくれています。
今回も面白かった!
では、また。