すごく丁寧に作られた駒撮りアニメ映画です。
壮絶な家庭環境の中で暮らし、孤児院に保護された9歳の少年の物語
孤児院で出会った子供たちは同じように辛い家庭環境がありました。
ストップモーションアニメ映画ですが
非常に細かい表現が丁寧に作りこまれており
ホントにこの人形に心があるかの様に思えてきます。
60分強の作品ですが
その制作に2年も要したという大作です。
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原作はこちら
大人がつくったこの渇いた過酷な現実社会で
子供達も必死に闘って生きていることが伝わってくる映画です。
「当たり前の幸せ」とか神格化された幻想のような「親子の愛」
そういったものが全然当たり前には存在しないとわかる作品です。
孤児院の子供達の言葉は
今の社会をつくった大人全員に向けての言葉かもしれません。
以下はネタバレありの感想日記になります。
- 「ぼくの名はズッキーニ」あらずじ
- ズッキーニのママの事故死の衝撃
- 孤児院の子供達の過酷な家庭環境
- それでも親の愛をどこかで求めてしまう子供達
- 現状を受け入れ、素直な心を失わずにいた結果
- 雪山旅行やハロウィンのシーンにも注目!
「ぼくの名はズッキーニ」あらずじ
いつも屋根裏で絵を描いたり窓からタコを飛ばしたりして
ひとりで遊んでいるイカールはママと二人暮らし。
パパが若い雌鶏(娘)の元へ去ってしまってから
ママはビールを飲んで怒ってばかり…
だからイカールはずっと屋根裏部屋でひとり過ごしています。
ある日、いつものように母が飲んで捨てたビールの空き缶を集め
屋根裏で缶タワーをつくって遊んでいたら
怒ったママがやってきて思わぬ事故で亡くなってしまいます。
ママの事故を担当した警察官レイモンは
ママがつけた「ズッキーニ」という愛称を大切にしているイカールを
不憫に思いながらも孤児院「フォンテーヌ園」に連れて行く。
園でも「ズッキーニ」と名乗り
みんなからズッキーニと呼ばれるイカール。
はじめは馴染めず、ボスで乱暴者のシモンにいじめられたが
あることをきっかけにケンカとなり
その後お互いに家族のことを話たりしていくうちに仲良くなります。
「みんな同じさ誰にも愛されてない」
というシモンですが
ズッキーニはまだどこか母や父に愛された自分を探してしまうようで…
園の先生たちは優しく、
仲間たちとも楽しく過ごしていて
初恋も経験し少しづつ
他人に「受け入れられる事」を知っていく
ズッキーニ。
新しく入ってきた1歳年上の可愛い女の子カミーユに
淡い恋心を感じながら仲良しになっていきます。
そんなカミーユに魔女のような伯母の魔の手が…
ズッキーニはカミーユを救うため行動にでます。
カミーユはどうなるのか?
ズッキーニはカミーユと離れ離れになってしまうのか?
ズッキーニに迫る更なる人生の転機とは?
傷付きながら、
傷つけられることになれながらも
生きる希望を探すズッキーニたち
ひとりでじっくり、
家族と一緒に、
お子さんと一緒に、
多くの人に見て欲しい映画です。
ズッキーニのママの事故死の衝撃
この映画を見て、まず驚かされるのが
ズッキーニのママの事故死です。
不慮の事故なのですが
その死にはズッキーニが関わっているのです。
怒った母が屋根裏にやってきたため
恐怖でとっさに…
たぶん私もズッキーニだったら
同じ行動をとってしまっていたと思う。
9歳のズッキーニがママの事故死をどう理解しているのか?
疑問に思いながら観ていたら2度目の衝撃が!
シモンとの会話の中で
ズッキーニは「ぼくがママを殺した」と言ったんです。
母親殺しの自覚があったなんて…
孤児院の子供達の過酷な家庭環境
シモンが教えてくれた
他のメンバーが孤児院にやってきたいきさつ
- シモン⇒両親がヤク中
- ベア⇒ママがアフリカへ強制送還
- ジュジュブ⇒ママが精神を病んでしまう
- アメッド⇒パパが強盗
- アリス⇒パパに性的虐待をされる(パパは刑務所)
カミーユについては
シモンとズッキーニが園長先生の部屋に忍び込んで
書類を盗み見た結果
「お父さんがお母さんを殺し、その後自殺」
母が他に好きな男をつくったことが原因だという…
カミーユはその後叔母のもとで暮らしたが
それが地獄だったという…
孤児院の子供達はみんな自分たちの状況をちゃんと理解してた。
「俺たちは親にすてられたゴミなのさ」
シモンはこう言ってた。
それでも親の愛をどこかで求めてしまう子供達
シモンは孤児院にいるメンバーはみんな
「誰にも愛されない存在なのさ」と言いながらも
親からの手紙を楽しみに待っている。
他のみんなも
やっぱり親が迎えに来てくれる日を
心の奥では期待してずっと待っている。
ズッキーニも自分を捨てた父を
ヒーローの姿で絵に描き凧にし、
ママが飲んで捨てたビールの缶と共に
宝物として大事にしている。
子供達はどんな辛い目にあっても
やっぱり親の愛をどこかで信じているし
期待して待っているのだ(;;)
ズッキーニがこのママがつけた呼び名を
愛称として大事にするのも
唯一ママが自分に残してくれたものだからだろう…
現状を受け入れ、素直な心を失わずにいた結果
その結果なにが起こるのか?
それがこの映画で描かれています。
親に傷つけられ、捨てられ
期待を裏切られながらも
園の仲間や先生たちのおかげで
悲しみや憎しみに心が囚われることなく
素直な心を失わずに愛情や居場所を求め
さがし続けたズッキーニ。
傷付け奪う人もいれば
与えてくれる人も現れる。
孤児院の中は笑いや優しさが溢れてた。
どんな悲しい過去があっても
今を素直に楽しくする力が人にはあるんだなぁと思った。
素直な心って大人になるほど幻のようになっていくから
「はっ」としたBBAです。
雪山旅行やハロウィンのシーンにも注目!
雪山旅行のシーンやハロウィンパーティーのシーンなど
手の込んだシーンがたくさんあります。
車で街を走るシーンも凄いよ。
これ、駒撮りなの!?って驚くよ。
遊園地のシーンも凄く細かく作りこまれているから
楽しんでみてね~
では、また☆