3つの名を持っている火神であるが、ここでは「第三の名」で記されている…
古代の智を追い、古代日本の智の奥深さにハマリ、日本語のヒビキの神秘構造に触れ、今は「古事記の解読」に勤しんでおります。
では、「十拳の剱」が抜かれた後を見てまいりましょう~
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是に伊耶那岐命、御佩かせる十拳の剱を抜き、其の子 迦具土神の頸を斬りたまふ。
(「古事記」より)
私はここで重要な示しにいくつか気づくことになる。
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①火の神たる本質は「迦具土」に在るのか!?
「火之迦具土神」という名で先に登場しているのに、ここでは「迦具土神」という表現にかわっているのです。
3つの名を持つ火神一柱、その本質は「(火の)揺れる光の土神」ということではないだろうか。
そして「迦具土」が示す、「具象・現象化を起こす土(造化機関たる地の本質)」という意味を考えると、具象・現象化を起こす地の造化の力の源は「揺れる光」だと読み取れるのです。
②火神の「頸を斬る」ことの意味
「頸(首)」が示すのは「頭と胴体をつなぐ くびれ」という意味で、「頸」の字の造りは非常に興味深いものがあるのです。
「機織り機のたて糸(経糸・縦糸)」という示しが成されているのです。
つまり、首部は「造化機関(機織り機)の縦構造」を成すと同時にそこは「造化エネルギーの経絡」だということなのです。
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「頸を斬る」その意図は、”「頭部」と「胴体」を切り離すこと”ですよね。
つまり「頭部」と「胴体」を切り離すことによって生命力・神霊力・カムから湧く力を遮り、同時に頭部機能と胴体機能の通信を遮断できるというわけっすよね。
「頭部」と「胴体」をわざわざ切り離すということは、2つが其々に重要な機能・能力を有しており、それが「繋がる・交信する」ことで「神の力(+生きる力)」が発揮・維持されるってことですよね!?
このことは、単に頭部・胴体の分離以外にも実は重要な示しが潜んでいると私は考えております。
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③霊(ヒ)の分裂
生命の「核」であり、生命のはじまりである「直霊(なおひ)」が示す「ヒ=霊」。
生命の核である「ヒ・霊」はそもそも「久霊」だったものが、イザナギ命が十拳の剱で「ヒの神」の「クビ」を斬ったことにより「完全調和たる永遠の霊」から分離・分裂した霊(ヒ)になってしまったという示しじゃないでしょうか。
だから神の造化物であり、神の相似象たる我々「人間」は”肉体と精神の不安定な統合態”であるように感じているのではないでしょうか?
とにかく、ここで「神の世界の造化」が大きく変化してゆくことが示唆されていると思うのです。
(つづく)