けっこう辛い映画です(;;)
特に「自分には創造・創作の才能無い」と自覚している人には
めちゃくちゃ心にグサグサ来るはず…
ダン・ブラウンの小説、シリーズ4作目の「インフェルノ」出版の際に
実際にこうして発売前の流出や海賊版の防止のために
翻訳家たちを地下室に隔離して作業させたという
実話をもとに創られたスリラーですって
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【映画】9人の翻訳家~あらすじ
冒頭:燃え盛る炎が本棚に…(街の小さな書店で火事が)
場面は変わり:
世界的ベストセラー・ミステリー小説「デダリュス」
最新・第三巻(完結編)の発売記者会見が盛大に行なわれる。
世界同時販売となることが発表され
そのために選ばれた9人の翻訳家がフランス郊外の古城に集められた。
全480ページの翻訳を1日20ページずつ、2か月間の隔離生活で完了させるのだ。
発売前の情報漏えいを防ぐため
9人は古城の地下の作業部屋と生活スペースで隔離され
そんな中、事件が起きる。
翻訳現場にいる出版社・社長エリックのスマホに
「冒頭10ページをネットに公開した、24時間以内に500万ユーロ振り込まねば次の100ページを公開する」という脅迫メールが届く。
実際に冒頭の10ページはネットに公開されており騒ぎになっていた。
出版社・社長エリックは「この9人の中に犯人がいる」とし、
犯人探しがはじまるのだが…
※以下、ネタバレありの感想・考察いきます
文学を愛する者 VS 文学に挫折しペンを折った者
この映画ははっきりいうと「全員が文学を愛してる者」なんですが
その文学への愛が『創作・創造への挫折』によって歪んでしまった者の
悲しみと堕ちてゆく姿が心に痛い…
彼は出版社経営という立場で文学界に身を置きながら
いつのまにか、文学の才能ある者・文学を愛する者たちの敵になってしまう。
文学が好き故に、自分の創作の才能の無さを自覚しペンを折ってしまったエリック。
自分で背を向けておきながら「負け」を認められず
自分が愛していた文学をいつしか「金儲けの道具」として扱うように…
実際は金のためというよりは
出版界でどんな形でもいいから成功したかったんじゃないかな。
その辺がめちゃくちゃ切ないのよ、
私も創作に憧れつつも才能無い自覚あるから刺さるわぁ…
自分が出版社経営で成功すると
今度は「作品」は売れるか、売れないかが大事で
売れない創作はゴミのように扱い、作家の目の前で燃やしたり…
「翻訳家」に対しても
自分では作品を描く才能が無い為、他人の作品で食いつなぐ人
みたいな扱いをしてしまう…
作家にも翻訳家にも文学にも「敬意」も「愛」も無いのだ。
挫折したことで「愛⇒憎しみ」になったのかもしれない。
そのエリックを囲むように「文学を心から愛する者たち」がいるわけです。
自分にベストセラー作家の才能は無いと自覚しつつも
文学への愛と情熱をもつ人たちの集い、より一層エリックの闇が深く見えてくる。
創造・創作の才能ある人と「金=力」の社会
なんとなく、文学も芸術もファッションも
人間の創造性が発揮され眩しく思える分野も
結局は「金の力」でコントロールされてるよなぁ…って思ってたんですよ。
メディアや広告業界の大手が流行や「これは価値ある」って印象づけ
その流れをつくって消費者を誘導していく。
んで、結局多くの人が「そう思い込めば」それが現実になるわけです。
でも、最近のSNSの様子やこの映画を観て
「あ~もしかしたらお金あります」「稼いでます」アピールしてる人とかって
もしかしたら、エリックみたいに芸術的創作・創造の才能が無いのを自覚してるからこそ「お金=力」で自分を鼓舞してるのかもなぁと思うように。
やっぱ、どんな形でもいいから「才能ある自分」になりたいし、そうありたいもの。
自分の創りだす物や世界が人の心を揺さぶるのって憧れるよね。
その点では「金」も人への影響力大きいから、ついつい「金=(自分の)力」にしちゃうのかも。
なんか、その業界への愛を感じない金銭的・経済的な成功者や力ある人ってのは
挫折した才能無き自分を抱えながら、復讐しているのかもしれません。
「創造・創作の才能無し」かどうかは誰にも分からない
経済的成功・金銭的な評価ってのはわかりやすいですが
それが本当に「正しい評価」なのか?は怪しいものです。
金=力ならば、金を多く持つ人たちが
更に自分たちが潤うようにいかようにも市場をコントロールできるし
「儲け」優先なら多くの人に「実は無価値のモノを、もの凄い高価値ですよ」って思わせて流行らせれば大儲けできるわけで、実際今はそれがやりやすい社会ですものね~
ゴッホだって生前は絵がまったく売れてなかったのに
死後に急に評価が爆上がりしたわけですからね(^^;
ゴッホが生きてた時代と現代で「絵の専門家たち」の
評価基準が激変する何かがあったんですかね~
そうそう、この業界でその品の価値を決めるというか
価値を測る「専門家」ってのがまた謎で
創作・創造しない人が創作・創造物の価値を判断する…とか
作家・作者としては無名なのに「評価の専門家」って…
世の中、謎めいた存在多いよね。
んで、何が言いたいかと言うと
「創造・創作できるだけで凄い!」のは間違いないので
自分の中に表現したい事があるならどんどん形に出していったほうがいいよ~♪
私なんて、テレビや映画やYoutubeなど
誰か創ってくれた「面白い映像」を消費することに慣れちゃって
気がついたら自分の脳内にゼロからビジョンを描けなくなってたんだから(><)
マジでいま顔面蒼白で焦っております。
脳内でイメージする力がほぼセロまで落ちている…
だから、誰かに認められるかどうかは関係なく
「創造・創作できるだけ凄い、形にできるだけで凄い」ので
どんどんみんな創作していこうぜ~って提案です。
古代人トートが記した「エメラルドタブレット」の内容に
今、2022年の私がどえらく感銘受けてるんだから
あなたの創作も何千年後かの人びとの心を揺さぶっているかもよ。