プロ独女のライフハックブログ

BBA独女みつまるが「今」気になることを追いかけ綴る人生冒険日記

【映画】アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち~エドガー・アラン・ポー×精神病

アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち

これは…面白かった…登場人物をそれぞれ掘り下げれば

連続ドラマとしてもヒットする予感

役者も脚本も映像も全部が素晴らしく、非常に面白い映画です。

 

 

想像以上の面白さだった!!

エドガー・アラン・ポーの短編小説

「タール博士とフェザー教授の療法」が原作

 

原作小説では精神病治療と人物たちの背景が

もっとグッと描かれているようですが

映画はサスペンスとして非常によくまとまっています。

 

久しぶりに脚本力にグッときたし、

ラストに「やられた~!」ってなった。

 

 

アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」あらすじ

1899年 オックスフォード大学

精神科医を目指すエドワードはこの日の講義である女性患者と出会う

「ヒステリー症状」の症例として連れてこられた患者は

良家の出で現在はベツレヘム病院に入院中の35才の女性。

 

ヒステリー症状に長く苦しんできた彼女に対し

教授は意図的に発作を起こさせ、生徒たちに症例を見せる。

発作を起こしながらも「私は正常よ」と訴える彼女

教授は「異常なものほど自分は正常だという、犯罪者が自分は犯罪者じゃないというのと同じだ」と取り合わない。

 

この美しい患者のことが忘れられなくなったエドワード…

 

半年後の1899年のクリスマス、

エドワードは精神科医になるための実習先である

ストーン・ハースト精神病院へ

 

極寒の地に立つ自然の要塞のように孤立した病院

銃を持った警備責任者フィンに連れられ

この病院の責任者ラム医師の元へ

 

この病院にいる患者は約200人

みな貴族や王族など良家の人ばかりで

一族の恥とされ送られてきた人達なのだという…

 

ラム医師に病院を案内してもらいながら

この病院で行われている新しい治療法に興味を示すエドワード

そんな彼の前に…あの女性患者の姿が…

あの時の患者、イライザ・グレーブス夫人は

音楽治療によりだいぶ安定した状態にある様にみえた。

 

エドワードが到着したその日はクリスマス、

病院で行われるクリスマスの晩餐会に参加した彼は

この病院スタッフたちの奇妙な言動に違和感を感じていた…

 

イライザ夫人から

「ここから早く逃げて、あなたが居る場所じゃない」

と言われ、わけがわからないエドワード

 

その夜、寝つけずに病院内を散策し

地下室に降りたエドワードは

この病院の恐ろしい秘密を知ることになる。

 

エドワードはこの恐ろしい精神病院から

イライザ夫人と逃げ出すことができるのか!?

 

誰が正常で誰が狂っているのか?

あなたはそれを見抜けるか!?

 

大学の授業でのヒステリー症状患者の扱い

これが酷いんですよ。

ヒステリーの語源はギリシャ語で子宮って話から入り

ヒステリーは女性特有の病気という流れがあり

実際のヒステリー患者としてイライザが車椅子で教授の元に運ばれてくる。

 

ヒステリー症状にこれまで長く苦しんできた患者として連れてこられた彼女

彼女はヒステリー発作を起こすと非常に暴力的になるという…

「患者がヒステリーで暴力的になった時にはヘロインで抑える」

と教授は解説しながら、

ヒステリーの症例を見せるために

彼女に対し意図的に発作を起こそうとある行動にでる。

 

「意図的に発作を起こすには注意が必要」

と学生に注意を促しながらも

教授はこう続ける。

「女性特有の病気なので、女性特有の部分に触れると発作は起こる」

「胸や内ももや卵巣」

そう言うと教授は嫌がる彼女の身体を触りはじめる

そして教授が女性の下半身に無理やり触れると

彼女はヒステリー発作を起こし倒れそうになった。

 

起き上がった彼女は「私は正常だ」と訴えたが

教授は「正常じゃない者ほど自分は正常だという」と学生たちに向け言った。

 

えっ!?

これヒステリー症状っていうか

性的虐待によるトラウマとかじゃないの!?

それにこの教授…公開セクハラだし患者を侮辱しすぎじゃない?!

私はこのシーンを見ながらパニックだった。

 

身体を触られるの嫌なのに

無理やり触ってヘロイン打ったら

余計に意識おかしくなるじゃねーか!!

 

女性はヒステリーで混乱と攻撃的になるのと

男性が短気で暴力的になるのって同じじゃない??

感情的になって行動が野生的になるだけじゃ…

 

なんて、とんでもねー世界なんだ。

これが1899年では『当たり前』のことだったのか??

ゾッとするわ…

 

Dr.ソルトとDr.ラムの治療方針の違い

オックスフォード大の授業でもゾッとしたけど

ストーン・ハースト精神病院の医院長Dr.ソルトの治療はもっとゾッとした。

 

患者の最大の恐怖を知ることで

患者をコントロールしようという治療なのだ。

 

この精神病院では患者はモルモットだった。

人権などはなく、あらゆる苦痛を与えられ

それはもはや拷問レベルに達しており

「最大の恐怖」を研究され続けていたのだ。

 

悪魔の心を持つ患者への手術として行なわれていた手術法というのが

「頭蓋骨に穴をあける」というモノだった…

ロボトミー手術より酷い!!

 

この残酷で冷酷な拷問を「治療」とするDr.ソルトたちに

反旗をひるがえしたのが患者たちを率いるDr.ラムなのだ。

彼もまたこの病院の患者だった。

Dr.ラムは元軍医であり、ここの病院の治療方針を批判していた。

Dr.ラムは病院の医師、看護師、スタッフを地下牢に監禁し

患者たちにお互いを看護させた。

 

Dr.ラムの精神病治療方針は患者を「否定しない」「狂人として扱わないこと」だった。

彼らの妄想を否定せず、肯定しそれに合わせるのだ。

無理に正気に戻さなくとも彼らは幸せなのだ、という。

 

正常者として扱い、尊厳と使命(仕事)を与えることで

彼らはイキイキしだすとラムは語る。

そして実際にその通りに見えるのだ。

 

どっちが異常で狂ってるのか

どんどんわからなくなっていくのです。

 

あなたはどう思いますか?

 

新人医:エドワード・ニューゲート

研修医といったほうがいいのかな?

最終的にはどっちでもいい感じになります(^^;)

 

彼の治療方針が一番進んでいる様に思った。

患者に寄り添い、患者の話に耳を傾けるのだ。

患者の見ている世界に入り、うまく誘導する。

 

彼は6歳で両親を亡くし、

その後ロンドンの孤児院で育ち

そこで人間の醜さ、冷酷さ、残酷さ、愚かさを見て

味わってきたという…体中ひどい傷跡だらけのエドワード。

 

“惨めさは信念を際立たせる”

この無知な世界で、精神を病んでしまった者たちに

希望や夢を与えたいのだと彼は語る。

 

Dr.ソルトよりもDr.ラムよりも

エドワードは人の精神について深い理解を持っていたようだ。

地獄を経験しながら、そこに生きる人間を観察し続けてきたのだから。

 

苦痛や絶望から逃げるために精神を壊した患者が多い中で

エドワードは「無」になり観察し、人の精神を理解することで

苦痛や絶望を超える術を身に着けた人に見えた。

 

イライザ・グレーブス夫人

この映画の中で「正常」といえる唯一の人物な気がする…

彼女は性欲旺盛な夫の求めに長い間毎夜応え続け、

ついに心が限界に達しただけなのだ。

 

長年の苦痛と我慢に爆発した結果

夫の目を櫛で突き、耳を噛み千切り重傷を負わせた。

それでも夫は彼女に執着するのをやめない。

精神病院に入院させ従順な妻に戻ったら再び連れ帰り

自分の欲を満たす気なのだ。

 

彼女は美しく、賢く、才能にあふれ

人を惹きつける魅力にあふれた女性だから。

エドワードも彼女の魅力にすっかり虜に。

 

聞いたモノは信じるな、見たモノの半分だけ信じろ

この映画の重要なメッセージがこれ。

この映画を見ると、世の中の誰もが狂人に見えてくる。

 

「狂った者ほど自分を正常だという」

これは本質を突いている気がする。

 

自分を正常だと思っている人は既に狂っている…

エドガー・アラン・ポーによる狂人の定義は

「狂気とは自分自身を誤って認識すること」だという。

 

世の中で自分自身を正確に認識できている人って

どのくらいいるんだろう??

ほとんどの人が「他人基準」で自分を計るから…

狂人の中の相対的な位置を探っているだけだったりして。

 

この作品は登場人物がどれも癖があるので

彼らの持つ背景を深堀して描き

連続ドラマ化してもヒットする気がします。

観たいわぁ。

 

特にDr.ラムとDr.ソルトの過去みたいわぁ。

こんな脚本かける人羨ましいぜっ

 

では、また~☆

 

 

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