この映画は実話を基にしたというより
肥沃な土地から強制移住隔離され、伝統文化と秩序を奪われ
無法地帯と化した極寒の地で暮らすインディアン保留地の現状を描いている。
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- 少女ばかりが殺される極寒の先住民居留地
- 少女の遺体を発見した野生生物局のコリー
- 裸足の少女の遺体の捜査を進めるFBI捜査官とコリー
- 少女が最期の日にいた場所
- 無法地帯でFBI捜査員にも銃を向ける犯人たち
- 犯人の言葉に隔離された極寒の地の恐怖を知る
- コリーと少女の父の言葉
- この地ではインディアン女性の失踪者データは存在しない
少女ばかりが殺される極寒の先住民居留地
極寒のこの雪山地帯では
ちゃんとした防寒具無しで外に出てしまうと
肺が凍ってしまい血を噴いて死んでしまうという・・・
この極寒の地で裸足の少女の遺体が見つかったことで
捜査が進む中、この地の闇が明らかにされていきます。
こちらDVDのパッケージ
「なぜ、この土地では 少女ばかりが殺されるのか」
この問いかけの答え・・
映画を観終った時にあなたはどんな答えをみつけるのか?
少女の遺体を発見した野生生物局のコリー
※「ウインド・リバー」より
この顔!
この顔見て私はピンときた。
ジェフリー・ダーマやった人や!!!
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さすが役者さん!
今回はホントに深い悲しみを負った正義の父に見える・・
しかもめちゃくちゃいい味出してるんですよ(;;)
深い悲しみと怒りと慈しみが混在している男がそこに・・。
◆物語の中心となる野生生物局のコリー
主人公コリーはこの極寒の地で暮らす野生生物局の職員。
インディアンの妻との間に娘と息子がいる。
妻と出かけている夜に娘が襲われ殺されており
その後離婚してはいるが彼は今も家族を深く愛している。
妻と息子と住居は違うが
彼は今もこの保留地で暮らしている。
アメリカ人、白人への敵意に満ちたこの保留地で
コリーは不思議な存在である。
陽気で社交的ではないが
彼はこの地の人々に受け入れられている。
慣れ合うことはないが、お互いに認め合っている感じだ。
ハンターとしての腕前も
この厳しい自然を相手にする腕前も一流だ。
裸足の少女の遺体の捜査を進めるFBI捜査官とコリー
この地ではほとんど重大事件が起きない。
起きないというよりも放置されている。
それはなぜかといえば
保留地は連邦政府だけの管轄地とされ
州警察も市警察もこの地で何が起きても介入してこないのだ。
FBIも「重大事件」でなければ捜査に進むことはなく
実質この地の自警団のような部族警察にまかされることに。
広大な保留地をたった6人の部族警察で見まわているため
手もまわらないし、装備や捜査力も無いので
ほとんどの重大事件はうやむやに雪に消えてしまうのだ。
雪の中で遺体が見つかっても凍傷でかたずけられたり
野生動物に喰われてしまう。
少女の遺体も直接の死因は肺や血が凍ってしまったことだった。
でも少女は裸足で、レイプされた痕があったため
FBIの若い女性捜査官は「殺人事件」として捜査を始めたのだ。
少女の遺体を発見したコリーも土地勘を見込まれ
捜査に協力を依頼される。
遺体の少女が自分の娘の親友だったため
コリーも犯人を捕まえるため協力することに。
少女が最期の日にいた場所
保留地にある発電施設だか掘削所だか・・
とにかくこの地に派遣されてきたアメリカ人労働者の寮がここにある。
インディアンの居住集落から
8km先にあるとされるが
この地に行くには安全のため遠回りし
80kmの移動距離を必要とする。
これがこの極寒と厳しい自然の地ではふつうのことだという。
少女はこの寮に暮らす恋人を訪ねてきたのだ。
他の労働者たちは街に飲みに出かけて戻ってこない夜のはずだった・・。
でもこの日彼らは酔っ払い、寮に戻ってきたのだ。
若く美しい少女とベッドにいる同僚を見て
酔っ払いたちは野生の本能をむき出しに襲い掛かってくる。
少女は恋人が身を挺してこの寮から逃がしてくれたが・・・
無法地帯でFBI捜査員にも銃を向ける犯人たち
この極寒の無法地帯では
生き残るか、死ぬかしかない。
捜査員に追いつめられたアメリカ人労働者たちは
FBI捜査員や部族警察官や応援の警官たちにも
銃を向け撃ち殺す。
バレなければ、
バレても捕まらなければ
罪人にならないのだ。
犯人の言葉に隔離された極寒の地の恐怖を知る
犯人に同情する気はいっさいないが
この一面雪に覆われ充分な防寒装備ななければ
外にでて数分で肺が凍って死に至る、過酷な環境が
人を狂わせ狂気を増幅するのもちょっとわかる。
映画「シャイニング」でジャック・ニコルソンが演じた小説家が
どんどん寒さと静寂と隔離された空間の中で
狂気に包まれていったのを思い出すのだ。
シャイニングの舞台の雪山ホテルも
この状況によく似ている。
最後まで逃げた男が叫んでいた。
「この地が悪いんだ、極寒で娯楽も女もなく雪しかない」
気が狂って当然だと少女を襲い死に追いやった男は言うのだ。
でも、その地にインディアンたちは強制移住させられ
何年も暮らしている。
映画で描かれているが
この男が言うように、この地に暮らすインディアンの人たちも
心を壊したり、薬や酒でボロボロになっている人が多い。
もともとは肥沃な土地で自然と上手に共存していた人たちなのだ。
全部奪われ、この地に追いやられ、そして放置されてる。
コリーと少女の父の言葉
この映画で一番印象に残るシーンが
映画の最後にある。
犯人を裁いたコリーが
遺体で発見された少女の父親を訪ね
ふたりは語らうのだ。
語らうと言っても言葉は少ない。
少女の父はインディアンとして死のうとしていた。
死に化粧だといって顔を白と青に塗っていた。
コリーが「その死に化粧は伝統にあってるのか?」と聞くと
少女の父は「わからない、教えてくれる人がいなかったからな」と答えた。
保留地に暮らすインディアンは
その伝統文化も取り上げられ、奪われているのだ。
またコリーが撃たれて入院しているFBI捜査官を訪ねた時も
「私は運がよかったのよ」と言う彼女に
「運なんてこの地には無い、生き残ったのは君が強かったらだ」
「君が自分で勝ち取った命だ」
というようなことを言うんですよ(;;)
この地では弱い者、生きることを諦めた者から死んでいく
生き残るには強い意志で戦い抜くしかない。
それがこの地の現実だと。
この地ではインディアン女性の失踪者データは存在しない
把握されていないし、
そして多くの少女たちが襲われ殺されている。
その事実はどこのデータにも残されていないというのです。
- 貧困
- 厳しい環境
- 希望が持てない生活
- 満たされない欲
こういった中で
人間が最後に見つける快楽・娯楽が
「差別・暴力」なんだという。
自分より弱い者が欲望のはけ口にされ狙われる。
社会が差別的、攻撃的になってきたら
それは治安維持の防波堤がもうすぐ崩れるサインかもしれませんね。
色々考えさせられる映画です。