「俺は、良い人じゃないが、悪人でもない」
ここまで正直に自分のこと語れるだろうか。
【映画パーフェクトワールド~感想】
自由と理想と父親の影を追って
タイムマシンで人質にした少年と走り続けた結果~
いつの間にか自分が追っていた「理想の父」になり、
一緒にいた少年がまるで「息子」のようになっていた…
この二人の間に芽生えたモノって何だったんでしょうね?
私にはふたりとも「自由」と「理想の父の影」を追っていた気がします。
ブッチが逃亡で走らせている車のことを「これはタイムマシンだ」と言った意味、実はものすごく重要なことだったんじゃないか、と。
生まれ育った環境や社会がどうしても「人を拘束・束縛してくる」んだけど、
その中で皆 従順に生きながらもやっぱり心の底では「自由」を求めている。
ブッチと少年はお互いに人生の「解放者」だったんではないだろうか。
ありのままの自分で少年に接し続けたブッチは最後の審判で、無垢で純粋な天使の慈愛に包まれていた。
周囲に合わせたり、周囲の人の顔色を窺ったりせず、ありのままの自分をさらけ出して走り出したとして私は少年にブッチのように抱きしめてもらえるだろうか?
歪んだ社会の中で 真直ぐ生きられている人はどのくらいいるんだろう?
この映画を見て、人間は皆 自由と理想を求めて善と悪の間を揺らいでいると思えるようになった。それこそが人間らしさなんでしょうね。
完璧な善人を装う極悪人とか権力層に多いしね。
「自分は善人じゃないが、悪人でもない」と認められる人は、
ちゃんと自分をわかっている人(自分と向き合っている人)なんだと思う、マジで。
目ざめたブッチが彼の望んだ「パーフェクトワールド」に移行できたことを願うばかりです。