Amazonプライムビデオで「あなたへおすすめ」と
ずっと推されていたけど、タイトルと観た人達の低評価で
避けていた作品を観てみたら意外な内容だった話。
なんで、この邦題なの?
なんで、このヴィジュアルを映画の宣伝に使ったの?
内容とポスター(?)にモヤっときた作品です。
B級、C級映画臭のする邦題ですが
この映画が指摘していることは
化学の汚染・副作用と
人間の穢れと遺伝・家族という楽園を求める性
などなかなか考えさせるものとなっている。
「あらすじ」以降、ネタバレ有で感想・考察書いていきます。
- 「恐怖ノ白魔人」あらすじ
- ポイント①はじめのニュースの報道内容
- ポイント②息子の「存在」を溺愛する父
- ポイント③魔人の凶暴性と悪がき3人の邪悪性
- ポイント④身を隠して汚染や副作用は広がりつづける
- ポイント⑤家族という楽園
- ポイント⑥白魔人クラランス
- ポイント⑦悪がき3人がなかなかイケメン
「恐怖ノ白魔人」あらすじ
生物・化学兵器についてのニュースを観ながら
フラッシュバックに襲われる男
次の瞬間、男は臨月の妻に
バットで殴られ床に倒れる。
妻は2階の子供部屋に向かい
4才の息子クラランスにナイフで襲いかかる。
血だらけで子供部屋にやってきた父がなんとか息子を守り、
親子は身を隠すように新天地を求め車を走らすのだった…
場面が変わり
のどかな町に暮らす13才~14才の悪がき3人組
学校でも問題ばかりおこし怒られ
学校を抜けだし、麦畑でたばこを吸いながら
「ムカつくエルマンじじぃの納屋に火をつけようぜ」と悪巧み
※というかしっかり犯罪
納屋に火をつけ逃げる途中で
この辺では見ない男が廃墟となった撮影所に向かい
車を走らせているのを目撃し
悪がき3人は後をつけ廃墟に向かう。
そこで3人は血を流し拘束された女の人が
廃墟の奥に男に運ばれていくのを目撃する。
女性を助けようと
廃墟の奥に入っていくと
そこにはガスマスクをつけた男と
ピエロのマスクをかぶった大男の姿が!
廃墟の男に見つかり必死に逃げる3人の前に
警察の車が通りかかる。
さっき見たことを警察に話し現場に向かうが
そこには誰もいなかった…
「納屋に火をつけ、警察に嘘をついた」と
警察にも家族にもひどく怒られた悪がき3人。
しかし、その夜
廃墟でみた男が3人を始末しにやってくる。
3人だけでなく、その家族までも襲われていく。
廃墟の男の目的は何なのか?
白魔人とは何か?
なぜ女性を拉致していたのか?
※以下、ネタバレ有での感想・考察となります。
ポイント①はじめのニュースの報道内容
映画のはじまりに映し出される家の中で
臨月を思わせる妊婦の妻、
リビングで昼から酒を飲みテレビを見ている夫、
暴力的で攻撃的な人柄を思わせる夫婦の言葉…
この時、夫が見ているテレビで流れるニュースが重要なのです。
これから登場するであろう「恐怖ノ白魔人」について
もの凄い丁寧に解説してくれている。
その内容は「生物・化学兵器の副作用について」
- 一番の犠牲者は自国の兵士たちであること
- 毒ガスによる肺や目の炎症の致命的な危険(兵士の検死報告書が立証済み)
- 生存者には神経障害がみられること
- 更に深刻なのは「遺伝的影響」であること
など次々に読み上げられていきます。
遺伝的影響が本当にすごくて
“胚性突然変異は生殖細胞のDNAにより
両親が持たない形質を胚が発現させるものです
遺伝的突然変異は子供の発育異常としてあらわれます
性的な障害や精神障害、ガンの症例があります
数世代にわたって続くのです”
このニュースの後
一家は悲劇に襲われます。
妻が夫を襲い、4才の異形の息子を襲い
自分の妊娠中の腹を切り裂き、最後には自分の首を斬り命を絶つのです。
父親が元兵士であること、
生物・化学兵器を浴びており副作用が出ていること、
4才の息子に遺伝的副作用が出ていること、
その息子の「見た目と臭いが異常であること」などがうかがえます。
ポイント②息子の「存在」を溺愛する父
この「はじめの家族」の父親がどうも不気味。
言葉も行動も暴力的で「マイホームパパ」には全く見えませんが
『俺の息子だ』と息子を命がけで守るのです。
ニュースを真剣な顔で聞きながら
フラッシュバックに襲われており
その時に流れる映像はなかなか意味深
兵士時代によほどの目にあっており、
そのために「俺の家族」へのこだわりが強いのかもしれません。
妻の腹から赤ちゃんをとり出し、
4才の息子を車にので逃亡する際も
「また家族を作ろう、家を見つけよう、身を隠そう、世間から」
と唱えるのです…怖いっ
この父にとっては「血のつながった家族」が重要で
妻という意識は薄く、自分の子を産む女性を探している。
このむき出しの種の保存本能も副作用なのか?
そう、だから「息子を溺愛」というよりも
「息子の存在」を溺愛している父なのです。
※ここ重要
ポイント③魔人の凶暴性と悪がき3人の邪悪性
化学兵器の副作用で白魔人となったクラランスは
確かに凶暴でものすごい力で人を襲います。
しかし、私が気になったのは悪がき3人が
「罪悪感なく」悪事を楽しんで行っているその怖さ!
エルマンさんの納屋に火をつけた時も
エルマンさんに見つかって追いかけられ、
逆に斧でエルマンさんの頭を割ろうとした時も
躊躇なく人に銃口を向けるのも
悪がきというより心底邪悪なのです。
この子たちも化学兵器の汚染による被害者なのか?
それとも人間が根本にもつ穢れなのか?
そだった家庭環境により歪んだ人間性なのか?
この辺がはっきりしませんが
白魔人よりと同じくらい凶悪であると言えます。
大男に見える白魔人ですが
実は6歳の子供で、彼は父親に言われるがままに人を襲っただけ。
父親から「人として」の教育を何も受けていないのです。
そのために「力任せに、人を襲ってしまう」父の命令だから。
怪力と特殊能力を備えた6歳の無邪気と
13才・14才の邪悪な少年…どっちが怖いでしょうか?
化学汚染の作用的にも
自然発生的にも人間社会は
「凶暴で邪悪な人間の増殖傾向」にあるのかもしれません。
ポイント④身を隠して汚染や副作用は広がりつづける
この映画の一番怖いところは
このメッセージではないでしょうか?
汚染や副作用となって
我々も気が付かないうちに
世間から身を隠してどんどん広がっていくこと。
遺伝を通して何世代にもわたり広がるし、
アダムはイブを探して我が子を残し続ける。
ポイント⑤家族という楽園
白魔人クラランスの家族、
悪がき3人それぞれの家族、
この作品では4つの少し形の違う家族が登場します。
- 歪んだ家族愛のクラランス一家
- 母の再婚により新しく5人家族になったヴィクトル一家
- 金持ちだけど両親の離婚間近のシレ― 一家
- 父親に暴力に支配され育ったアゼルの家
守りたい楽園でもあり
囚われていて逃げられない楽園でもある。
「家族」ってどうしてこんなに意味深いんだろう?
とBBAは思考の渦にのみこまれております。
ポイント⑥白魔人クラランス
化学兵器の副作用を遺伝的に受け継いだクラランスですが
その能力や身体がどれほど「普通の人間」と違うのか?
というと、
- 6歳にして大男
- 肉体の成長も生殖器だけアンバランス
- 精神的に通常の6歳児より幼く野生的
- もの凄い怪力で、肉体も攻撃に強い
- 肌の色がまっ白で体毛がない
- 性別の識別はしっかりできている
形状的にはそこまで「異形」ではありません。
色白なのも色素の問題のようです。
ただ、気になるのが肉体成長の速さと頑丈さと
野生的であるが命令に従う従順さ…
これ、人間兵器用に計算された副作用とかじゃない?!
副作用っていうか「本来の狙い通りの効果」ってことない??
めっちゃ怖いんですけど。
ポイント⑦悪がき3人がなかなかイケメン
全然、個人的な趣味ですけど
悪がき3人とその妹たちやシッターの女性が
イケメンだったり可愛かったりがすごいです。
フランス映画だからなのか
美へのこだわりかしらね?
クラランスの異質ぶりを目立たせるために
ワザと美形をそろえたのか?
私的にはヴィクトルの妹がめっちゃ可愛いくて
まるで天使です。
ナウシカを読み直してから
もう一度見てみたい映画です。