プロ独女のライフハックブログ

BBA独女みつまるが「今」気になることを追いかけ綴る人生冒険日記

【深夜映画部】ザ・インシデント~ガラス越しにふたりの顔が重なった時既にはじまっていた

ザ・インシデント(字幕版)

ザ・インシデント(字幕版)

 

私にはかなり初期の段階でジョージとグリーンが重なって見えていたよ。

強化ガラスor強化アクリル板に映るふたりの顔が重なった時に「ゾワッ」ときた。

 

 

 

 

第36回トロント国際映画祭で話題を集めたシチュエーション・スリラーですってよ!

なかなか血が飛び散る映画ですのでグロや残虐系がダメな方はご注意を。

 

気になる演出が多く

ところどころ違和感を与える映像をちりばめているのが憎い作品。

日常・社会への風刺のようでもあり

精神科病棟の歪曲表現でもあるし、

最終的に意図や主張がぼんやりしているのは

観る人のために抽象度を上げたせいなのか??

 

終わり方が抽象度高めなので

私の勝手な解釈で映画の感想日記を書いていきます。

 

色々な部分で「違和感」多めの作品だよ。

 

 

 

 

ザ・インシデントのあらすじ

 

精神病院(病院というより精神病の患者専用収容施設っぽい)の

料理人バイトをしているバンドマンのジョージが体験する

停電からはじまる恐怖の一夜の物語です。

 

主人公のジョージが誘ったことで

バンドのメンバー2人も同じ職場で働いています。

 

ある日突如停電になり

この施設内の患者たちが暴動をおこします。

警備員たちを襲い無惨に殺していくのです。

患者たちの狂気の目は料理バイトの彼らにも向けられ

彼らは追われる立場になるのです。

 

患者たちの暴行は残虐さを増していき

むしろその行為に興奮さえしているのです。

言葉も届かないし、説得も話し合いもできません。

 

何とか警察に連絡できたが

警察到着まで1時間はかかる!

 

そんな地獄の一夜のお話です。

 

◆舞台となる精神病院の異常な風景

 

犯罪を犯し精神病鑑定された人が収容されている施設という設定だと

映画鑑賞後に他の方々の感想を読んで知りました。

だとしても不思議な精神病関連施設なのです。

 

 ロアだったかな??

精神病に関する研究がそれほど進んでいない時代は

病院が見物料をとって患者たちの様子を一般に公開して見世物にしていたり、

治療と称して非人道的な実験行為がされていたりという

過去の事実に触れることができます。

 

そういった面と

精神病患者へ我々が抱く「行動原理が理解できない故の恐怖」と

規律という建前で暴力で支配されている閉じられた空間と

それらすべてがこっちゃになったような施設です。

 

施設にいる患者たちは

分厚い鉄の扉とコンクリートの壁で仕切られた独房のような部屋で1日を過ごし

部屋から出られるのは食堂に集められ投薬と食事をする時だけ。

 

しかも彼らは常に屈強な警備員たちに監視され

少しでも規律を乱す行動をとれば

力で押さえつけられます。

 

医師の姿は見当たらないし、

看護師も食事の配膳時に強化ガラス(アクリル)越しに

みんなに同じ青い錠剤を渡す女性しか見当たりません。

 

この施設の実態は「重度の精神病患者の隔離施設」のようです。

薬で精神を安定させコンクリと鉄の扉の部屋に押し込めておく監視施設。

 

閉じた空間であるこの精神病施設では

患者は弱者であり支配される側、

警備員は監視役であり彼らを力で支配する側になり

警備員たちは誰も患者を「同じ人として」扱いません。

動物のように扱っているのです。

 

どなり、命令し、従わなければ力で押さえつける。

 

 いい方が乱暴ですが

警備員たちは患者たちのことを「バカ」だと思っているようです。

思考力がないから反抗されないと思っている感じがします。

 

◆ジョージは精神病患者と人と人の対応

 

停電時に患者たちから

追われほどい拷問されるジョージですが

彼は食事の配膳時にひとちひとりに

ちゃんと一言声をかけていました。

 

「ありがとう」

とか

「ごめんよ」

とか

あいさつだったり

ジョージがミスした時はちゃんと彼らにジョージは謝っていました。

 

乱暴で攻撃的でない患者とは

お互いに笑顔で「どうも~」みたいなことも。

 

ちょっとしたことで

患者のパニックスイッチが入ってしまうこともあるので

それほど交流をとるわけではありませんが

ちゃんと彼らと人と人として向かい合っていたのはジョージだけに見えました。

 

◆ジョージが違和感を感じる患者・グリーン

 

多くの患者を配膳時を通じ見知るジョージですが

彼が唯一「いいしれぬ不安」を感じる存在が

いつもオールバックに髪を整えジョージを無言で

じっとり見つめてくるグリーンです。

 

目と目があった時

心に入り込んできそうな勢いなのです。

 

ジョージを最後まで追い詰めるのもグリーンであり

ジョージは停電時の反乱のリーダーがグリーンだと思っている。

それは食堂でグリーンが患者の耳元でささやき

薬を飲まないように口から吐き出させるようすを見ていたから。

 

最後にジョージを追い詰め

調理台に裸でしばりつけ

ジョージの目の前に現れたグリーンは

ジョージに危害を加えるのではなく

自分自身の指をむちゃむちゃ食べ始めます。

 

ところがジョージが見ていられず目をつぶった次の瞬間

グリーンは姿を消してしまうのです。

 

その後警察が突入してきて間一髪ジョージは助かるのですが

調理場を出たところでジョージは既に死んでいたグリーンの遺体を目にするのです。

「えっさっきオレの前にいたグリーンは??」

 

◆生き残り救助されたジョージの目覚め

なんとか救助されたジョージですが

目覚めるとジョージは病院のベッドの上でした。

必死に彼の横で「あなたは悪くないわ」と唱えるジョージの恋人。

 

ジョージが視線を前方に映すと

なんと!

目の前には強化ガラスの仕切りの向こうで調理作業中の自分と仲間の姿が!!

驚くと同時にジョージは調理場の中の自分の意識につながります。

 

まるでこの映画の出だしのシーンそのままに

デジャブのように仲間との調理作業するジョージ。

前はよそ見をして自分の指を包丁で切ってしまったジョージですが

なんと今度は仲間がキャベツの下処理するはずが

自分の指を切りはじめたのです!

しかも笑いながらザクザクと手首まで斬っています。

 

慌てたジョージが眩暈の中で調理場から退出しようと

扉を開けるとそこにはあの日の患者たちが彼をにらんで待っているのでした。

それを見て「奴らがいる」と叫び狂乱するジョージ。

 

ここで終わりになり

エンドロールへ。

 

この抽象度高めの終わり方が色々と物議をかもしています(^^;)

ではここから私の勝手な解釈に入ります。

 

◎私の勝手な考察~気になるシーンからの推測

 

多くの人が

「停電からの施設内生き残りサバイバル経験を経て

ジョージは患者として施設に収容された」

と考えているようです。

 

一見そう見えるのですが

私は最後にジョージを追い詰め指を喰い消えたグリーンと

だいぶ前に死んでいたグリーンの遺体が映し出されたことと

違和感を感じた多くのシーンから

まったく別の解釈をしています。

 

私が違和感を感じたシーンたち

気になった違和感感じまくりのシーンをあげていきます。

できるだけ時系列順に

 

①オープニング直後の調理場シーン

 

ジョージが指を切ってしまうのですが

気になるワンカットを入れ込んでいるのです。

ジョージが細かくブロックにカットしていた肉ではなく

(たぶんジョージの)血の付いたステーキ状の1枚肉の映像が

次の場面に変わる前に差し込まれています。

 

 

②ジョージの恋人

 

ジョージには超美人の恋人がいて

結構いい部屋にふたりは暮らしているようです。

壁一面本棚のその部屋の中は本でいっぱい!

 

今夜のライブ予定でシャワーを浴びてすぐに

恋人を部屋に残し家を出ていくジョージ。

翌朝7時に肉の配達があるので

受け取りと調理準備に早朝出勤しなければならないジョージ。

 

ライブ後家に戻り

翌朝5時に起きるシーンでは彼の恋人の姿はありませんでした。

 

③事件当日の出勤前のジョージのシャワーシーンが意味深

私はこのシーンが非常に気持ち悪かったのです。

全体に青味にしているのも、

ジョージの表情にも

何か意味が込められているような気がした。

 

「キリストの受難」をイメージさせる映像にわざと仕上げてあるのかな?

 

私はこのシーンでジョージの精神も不安定で

既に境界線を越えてしまっているように見えました。

 

④早朝出勤で車で施設に向かうシーン

 

どこか不安定なジョージの姿が気になります。

ラジオをしきりに注意深く聞くその姿も。

今から思えば

何か不安を抱え 逃亡中にも見える。

 

⑤肉屋から受け取った頭部付の鶏肉と謎肉

肉屋が運んできた肉はいつもと違ったのです。

鶏肉は首~頭部がついた丸ごとのものでジョージは文句をいいます。

しかも肉納入業者は肉を調理場に運ぶときに

なにか汁をこぼしていくのです。

(たぶん謎肉から出た血とか体液だろう)

 

文句をいいながら食糧庫に肉を整理してしまうジョージですが

首付の鶏肉をなぜか、

壁のフックにかけて並べているのです????

そんなしまい方ある!?

 

更にはでっかいビニール袋に入った肉を運ぶ途中

床にぶちまけてしまうのですが・・・

この床にぶちまけたジョージ曰く「謎肉」、

どう見ても人間の内臓とメタメタにされた頭部っぽいんですよね(^^;)

 

パッと見た時に

人間の臓器に酷似した肉片が確認できるし

アップになった時に「歯」が見えたんですよ。

1本とかじゃなく並んだ歯が。

 

⑥ガラス越しに重なるジョージとグリーンの顔

もともとグリーンがジョージを常に見つめてくるので

目はよくあっていたふたりですが

強化ガラス越しの二人を映したシーンで

グリーン側のアップ映像にガラスに映った

ジョージの顔が重なっている画が!!

ここ、すごく重要なカットなんだと思う。

 

⑦頭部切断された警備員長の遺体

反乱後ジョージたちが調理場から逃げる時

目にするのが監視役警備員のリーダー的存在JBの首なしの遺体です。

なぜかこの反乱で多くの遺体が転がっている中で

JBの死体は頭部が切断されているのです。

 

そして再び調理場に戻ってきたときは

その遺体が調理場に引きずりいれられた血の跡を残し

消えてしまいます。

 

このシーン…肉屋が納めた頭部付の鶏肉と

汁を垂らして調理場に運ぶシーンとリンクしませんか???

 

⑧ジョージが彼女へ電話するシーン

警察に通報した後

ジョージは彼女にも電話するんです。

でもねぇ

この彼女との電話・・・受話器の向こうに

彼女実はいないような気がするんですよね。。

 

⑨指を切り、指を切るシーンが多い

多くの拷問シーンや残虐シーンあるのですが

そういったひとまとめのグロシーンと別に

「指」にまつわるシーンが多くクローズアップされ挿入されている。

 

  • ジョージが指を切ってしまうシーン
  • グリーンが指を喰らうシーン
  • 死体のグリーンの指は異形の歪曲している
  • 目覚めたジョージが目にする仲間の指千切りシーン

 

⑩目覚めたジョージに付き添う恋人が顔なし

救助され目覚めたジョージに付き添う恋人が

口元のアップと「あなたのせいじゃないわ」という言葉以外

はっきりと顔を見せないのです。

どうも生身の人間感がないのよね…。

 

 

以上のシーンを踏まえて私の考察いくよ!

 

考察①かなり早い段階でジョージの中にグリーンがとりこまれた

上記で紹介したように

ジョージはグリーンを意識するあまり

いつしか自分の中にグリーンを取り込んでしまった。

 

つまりジョージのイメージする反乱のリーダーであるグリーンは

ジョージの中にあるグリーンなんだと思うのです。

 

ジョージはジョージとしての意識と

グリーンとしての意識が中で同居しちゃってるのではないか?

 

気になるシーンであげ忘れたのですが

施設内の暴動で逃げ惑うシーンの中で

「この暴動の首謀者はグリーンだ」と主張するジョージに対して

ジョージ以外に唯一生き残ったコックがこういいます。

「グリーンも精神患者にすぎない、同じ患者のひとりに皆が従うわけがない。

計画を立て実行できるリーダーは他にいるはずだ」

 

私はこの時点で割とジョージがこの反乱のリーダーか??

と疑っていたのです。

だって他の人はみんないたぶられながらもすぐに殺されているのに

ジョージだけは・・・。

 

考察②謎肉の正体は恋人かJBか

謎肉は大きさ・形・歯から見ても人間の肉だと思うのですが

一体誰の肉でしょうか??

 

ジョージの恋人かJBである可能性が高い。

首付鶏肉のシーンを考えるとJBかな?

 

考察③人間の精神の安定と不安体は表裏一体

人間の精神が安定してるってのが

そもそも思い込みであり

実は常に不安定に揺れてるんだぜ!

 

ちょっとのきっかけでこうなるんだぜ。

という強烈なメッセージかもしれない。

 

そして世界がどう見えるかなんて

人によってこんなに違うんだぜってことかも。

 

考察④実は私たちの日常も狂気に囲まれている

患者を動物のように扱う監視・警備員や

人を人として扱わないことが日常と化した

この施設での「当たり前」って正常?狂気?

 

精神も安定して健常者のような気でいる私たちも

実は狂気の中を狂気で生きているから

その異常さに気が付かないだけかもしれません。

 

そんな辛辣なメッセージがこの作品の意図だったりして・・・

 

まとめ:観る自分の心がどこにあるかで見えてくるものが変わる作品

私がややこしく考えちゃうだけで

ただただホラーゲームのように

スリルと映像を素直に楽しむ作品なのかも(^^;)

 

ラストの解釈が観る人任せにつくられているので

そのラストをどう捉えるかで

全体の見え方も変わる面白い作品です。

 

ただ鼻を食いちぎられたり、

コンロで全身焼かれたり、

生きながらに腹を裂かれたり、

目をつぶされたり、

皮膚をそがれたり、

そんなシーンが連続しますので

弱い方はご注意ください。

 

あと1つ大事なこととしては

この映画の精神病施設の表現はこの映画内のフィクションとして

観る事だと思います。

 

では、また~☆

 

 

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