シャイニング的な「孤立」状態にいける
自己の精神的な葛藤をわかりやすくイメージ化してくれたような作品。
58分と短いのでドラマをみる感覚で鑑賞できるよ。
派手な演出も凝った脚本による大どんでん返しとかもないです。
「これは何を表してるの?」と考えるのがおすすめの楽しみ方です。
夜にパソコン画面でイヤホンやヘッドホンで鑑賞する場合は
音にご注意ください。
- Solus~ラテン語で「ひとりで」alone
- うたたね後目覚めると彼らが見えるように・・
- CONSCIA~意識して
- 電気が点灯~点滅で更なる恐怖が
- DESOLATIONIS~冒涜
- 独女考察:部屋に溢れる明るい過去を示す品々
- 独女考察:赤ちゃんの人形とブライアン
- 独女考察:彼の正体は経験からの恐怖で、克服までの話!?
- 隔離された孤立の中では精神世界が自分の現実を飲み込む
Solus~ラテン語で「ひとりで」alone
主人公の女性ロレインは広場恐怖症のため
部屋から出ることがきず
ひとり部屋にこもって暮らしている。
普通に日常を過ごす彼女の隣には
彼女には見えていない
- ウェディングドレスを着たベリーショートの女性
- 顔に布をかぶり裸で仁王立ちしている男性
- 黒いスカートをはいた人
- 他にもいろいろ
などが部屋をうろうろしてる。
いつものように過ごしていると
ある日突然テレビが映らなくなり、
家の電気もつかなくなった。
ブレーカーをいじるも電気は復活しない(;;)
そこで彼女は友人のブライアンに電話で助けを求める。
友人と言ってもそんなに親しい関係ではないようで
「そんなの大家にいえよ」とブライアンは冷たい。
対人恐怖症でもある彼女は「大家とは話せない」というと
しぶしぶ1時間後にきてくれることに。
うたたね後目覚めると彼らが見えるように・・
ブライアンがきてくれるまで1時間あるので
シャワーをあび、ベッドにごろんとしたら
寝てしまったロレイン。
目を覚ますと1時間以上たっていた。
目の下に大きなクマがあるブライアンがやっと来てくれて
電気をみてくれることに。
ところが目が覚めてから彼女に異変が・・
今まで見えなかった住人が見えるようになったのだ。
- テレビ画面には今家の前の道路で亡くなった男性が後ろを向いて映っている
- 窓の外には白いドレスを着た大柄な女性が宙に浮いてこちらを見ている
- 慌てて違う部屋に逃げると顔に布で覆われた全裸男が!
- ウェディングドレスの女
怖くて自分のアパートの部屋中を移動し逃げ惑う彼女。
ブライアンの姿は消えてしまって・・
CONSCIA~意識して
急にイタリア語?
ここからは彼らが攻撃的に攻めてきます!
暗闇の中、顔布裸男が這うようにして
彼女の元に段ボール箱を運んできました。
恐る恐る箱を開けると
中にはボロボロな赤ちゃんの人形が・・
ヘソ部分に目玉がついていて
右の手足やアゴは切られています(;;)
なんだか・・血だらけのようなペイントも
箱の蓋に「私をくすぐって」と書いてり
恐る恐るお腹をなでると
「電話して」としゃべりだした・・・
慌てて逃げ出し
少し外の明かりがさす部屋に戻り
少し前に電話番号を教えてくれた男性に電話して助けを求めることに・・
でも相手の様子が変なのです。
電気が点灯~点滅で更なる恐怖が
電気が点灯しブライアンが扉を開け現れた!
「やっと会えた」と思ったが
ブライアンは取り乱している。
「ここから抜け出す方法を教えてくれ!!」と叫んでいる。
動揺するロレインだが
次の瞬間 やっと着いた照明が点滅しはじめ
また消えてしまう。
するとまたブライアンも消えてしまった。
扉を開け隣の部屋にいくと
ウェディングドレスの女が
ブライアンを壁にはりつけ
包丁で彼の右手を切りおとした!
この瞬間叫ぶロレインの顔には
不気味な笑みが浮かんでいた・・・。
そこから彼女はまたも真っ暗闇に引きずり込まれていく。
バスルームには顔布裸男がしばりつけられ
腹を切られ腸が垂れ下がっていた。
そんな男をみてロレインはナイフを手に彼に・・・・
その後今度は顔に布をかぶった女が現れ
ロレインは連れて行かれる。
DESOLATIONIS~冒涜
強い光に溢れた空間に連れてこられたロレイン
ここでは「彼ら」の核のようながんじがらめに縛られ
下半身が血だらけの「それ」が待っていた。
ここからはロレインと「それ」である彼女との
問答がはじまる。
ロレイン:「もう一方に対しては異なるように扱っている」
それ:「一人ひとり異なる」
ロレイン:「どうして私が傷つけられていないの?」
それ:「そこを出ないといけない」
ロレイン:「出ようとしても出ることができないの」
それ:「出ることを決意しなくてはいけない」
ロレイン:「私は閉じ込められている、私はアパートから出ることができない」
それ:「行け!!!」
この問答中彼女と重なるように
コイツが存在していた。
⇓
この赤い人
顔が焼かれたのか?皮をはがれたのか
血だらけで皮膚はなく中身がむき出しである・・・。
「行け!」と言われてから
多少迷いながらも
部屋の外にでて階段で立ち尽くす彼女。
そんな彼女を顔布黒服女が背中をそして
アパートの外へ突き飛ばした。
ロレインは夜の街に歩き出した。
独女考察:部屋に溢れる明るい過去を示す品々
彼女は一人暮らしなのに
非常に広いアパートに住んでいる。
何部屋もあるのだ!
そして彼女の住む部屋には
壁に数々のメダルが飾られている。
冷蔵庫には大勢の集合写真をはじめとして
家族との写真や
とにかく彼女の栄光の過去を示す写真が貼られている。
気になるのは「エコー写真」のように見えるヤツ!
しっかり冷蔵庫に貼られているのだ。
彼女はもともと人も広場もダメだったわけではなく
過去には人々の中心にいて輝かしい実績も残し
女の幸せもつかんでいたことがわかる。
独女考察:赤ちゃんの人形とブライアン
彼女が部屋から出られなくなり
人との交流ができなくなったきっかけを
- 冷蔵庫のエコー写真
- 手足を切られボロボロの赤ちゃんの人形
- 花嫁女に腕を切られたブライアン
これらが示すことから推測してみた。
赤ちゃんを産めなかったことにあるんじゃないだろうか。
死産だったのかもしれないし、
お腹の中で育たなかったのかもしれない。
もしくは他に事情があったのかもしれない。
とにかく今の彼女には子供はいないのだ。
独女考察:彼の正体は経験からの恐怖で、克服までの話!?
この作品の感想やレビューでは
彼女の内にある「不安からくる恐れ」ではないか?
という意見も多い。
結婚、男性(異性関係)、若さを失っていくこと、キャリアetc・・・
私は過去の実体験を元にした恐怖ではないかと思っている。
- 結婚⇒ウェディングドレスの花嫁がどんどん苦しそうに変化していく
- 男性⇒顔は見えないが下半身丸出しで、最後はお風呂場で血をながす
- 顔が後ろ前の男⇒事故死の男
- 顔布の女達⇒ロレインの近くにいて問答してくる
結婚したけど
子供が生まれなかったことが原因なのか
わからないが夫婦生活はうまくいかず破たんしたようだ。
覆面の女達も血だらけの赤い彼女も
ロレイン自身なんだともう。
過去の栄光⇒現実に挫折⇒ひきこもり⇒だけど・・外に出たい、社会に戻りたい
隔離された孤立の中では精神世界が自分の現実を飲み込む
映画シャイニングの
冬のリゾートホテルで管理人が気が狂ってしまう
状態を「精神空間で何が起こっているか?」可視化したような映画でした。
完全に独りだと現実と妄想世界の
境目なくなり
より、精神世界の侵食が激しいのではないだろうか?
ロレインが着ている白いTシャツが
時間経過ごとにどんどん破れや穴が大きくなっていくのも
非常に気になるわ・・・
現実(他人とつながる物理世界)と精神世界は
電気や電話ネットの繋がりがキーのようです。
ちなみに彼女が電話していたブライアン含め男性たちは
精神世界側の住人だと私は思っています。
過去の栄光よりも、今と未来に目を向けよっと。
では、また~☆
怖れがあるから怖くなる。