「The LMA」という意味かもしれない
主人公の少女の名テルマがそのままタイトルのこの作品!
大学進学のためオスロに出てきたことで
彼女の中に変化が起きはじめる。。。
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誰も悪くないし、みんな必死に「ベスト」を模索しているけど
なんだかんだで悲しい映画です(;;)私はそう感じたけど
観る人によっては「魔女の宅急便」的な少女の自立に見えるかも・・
映画テルマ~あらすじ
ノルウェーの田舎町で信仰心が深く、抑圧的な両親のもとで育った少女テルマ
テルマは優しく尊敬する父にはなんでも話し、相談する。
毎日のように両親からスマホに着信が…
テルマは慣れない都会の大学生活の中で
ある日図書室で勉強中に痙攣を起こし倒れてしまう。
その時隣に座っていた少女アンニャとプールで再会し声をかけられる。
このことをきっかけに二人は急接近、
アンニャに誘われるがままパーティーに飲酒にタバコにと
今まで両親から禁じられていた快楽を次々と経験していくテルマ。
そして、テルマは少女アンニャへの初恋に目覚めていく。
しかしテルマが親の作った敬虔で禁欲的な世界から外に向かっていくほどに
彼女の発作は酷くなり、周囲に異変が起こるようになっていく。
アンニャとの関係が深まるほど、こじれるほどに
テルマの中で何かが目覚め始めるのだった。
アンニャが忽然と姿を消し、
テルマの消えた幼少期の記憶がよみがえった時
彼女の中で目覚めつつある力の秘密が明かされる。
※以下ネタバレ有の感想・考察となります
「自分らしく生きる」ことは赦されないのか?
テルマが自分の能力や過去
そして抑えられない同性への愛に
苦悩しながら神に叫んだ言葉(;;)
本来、「どう生きるか」は何も決まっていないし自由なはず。
でも神がつくる世界、国、社会、親がつくる世界の中で
どんどん「こうあるべき」というものを背負わされていく。
コミュニティにはルールが必要で理想が必要なのだ。
「自分はどうしたいか?」よりも
「自分はどうするべきか?」で生きるようになる。
他人が期待する通りに自分を演じて生きるのだ。
「自分らしく生きちゃいけないの」
テルマの叫びは、多くの人の心の叫びでもある。
自分らしく生きていいと思う。
まずは自分の為に生きていいと思う。
人間の心も人生もひとり乗りの方舟だから。
誰かを幸せにできるのは、自分が幸せになってからだもんね。
自分を犠牲に誰かの為に生きるならば
結局 全部が「嘘」になっちゃう気がする。
娘への愛と憎しみと恐怖故に監視する両親
テルマは親からの過干渉を「愛情」だと思っていた。
親が自分を気にかけるのは深い愛情のためだと。
でも、母がテルマを観る目はどこか冷めているし
父は少しでも娘が傲慢になると怒りをあらわにする
両親はテルマを監視し、何かを恐れ、抑えようとしているのは明らかだった。
テルマの持つ特殊な能力と幼い息子の事故死
両親にとってテルマの能力は「悪」にしか映っていないが
本当は違ったのではないだろうか?
普通と違う、恐ろしい力を持つ子ということで
幼い時にテルマは両親に殺されかけている。
「異端者」「悪」扱いの向かうところは「消す」ことなのだろうか?
信仰心が深くなるほど「悪」への恐れが増すのか?
自分の能力を受け入れ親の世界から旅立つ少女
完全に親の世界とテルマの世界が別離するのは
彼女の能力の解釈の違いと
家庭を支配していた父の消滅という驚きの展開。
両親にとっては「悪」でしかなかったテルマの能力だが
私もテルマの父の話を聞いて「あれ?」と思った。
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”お前には力がある
全身全霊をかけて願ったら
その力が叶えてしまう”
簡単に言えば「強く願えば叶う」ってだけ。
全然「悪」でもないのだ。
無理に抑えつけたり、力のこと秘密にしないで
最初から力の存在をおしえて、コントロールできるように育てていれば
むしろ人生のプラスの能力になったのでは?
「善と悪とを知る実」を食べさせるべきだったんじゃなかろうか。。
親の世界(エデン)から脱出できたようです。
蛇が何度も登場していたのは
そのことを暗示していたのかぁ
自分の力を理解し、受け入れたテルマが母の脚を治したことと
能力による支配とわかっていても恋人アンニャを手に入れたことは
彼女の特殊能力の陰陽をよく表現していると思った。
注目点:磁気と波動とテルマの能力
個人的に興味深かったのは
テルマが大学で講義を受けている映画冒頭シーンで
「粒子であり波動」という教授の言葉や
テルマに異変が起きる時、磁気や電磁波の影響が見られる点や
平行宇宙を彼女が移動できるかの様な描写です。
魔女や悪魔的な能力ではなく
意外と自然の法則にのっとった現実的な可能性ある能力に
見えるように描かれてたなぁと。
アンニャの心もコントロールできるのは
波動により脳神経の電気信号を操れるからなのでしょうか?
それともこの辺はファンタジー要素なのかな。
誰も悪くないけど
なんだか悲しくせつない映画でした。
父は実の母を廃人にした罪も背負っていたから
炎につつまれたのでしょうか?
嘘ではない娘への愛も持っていた父だったのに…