「物実(ものざね)」は日本神話の「誓約」場面に登場し重要な意味を持つのですがご存知でしょうか?
古代日本の叡智に近づくため、また肉体のカムアマ構造とその力を活用できるよう「覚醒の鍵」を得るために合気道の祖・植芝盛平氏が説く「むすび合気」の世界を覗きこんでいる私です。
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前回から「形ある物」の意味を追いはじめまいたが、
形ある物=物(物体・物質)+実(実体)→「物実」
この「物と実」から成る「物実・ものざね」という言葉が示す重要な意味について、盛平氏が教えてくれております。
「盛平氏が教えてくれている」というよりは、古事記~日本神話で「物実」の重要性が示されているといった方が正確かもしれません。
気になった方は先に「古事記」の「誓約」の場面を読んでみてね~
今後「古事記の解読」でも詳しく読み解いてゆきますが、「誓約」からこの世界(我々世界)の生成(造化)の術(形式・法則)が大きく変わっております。
その流れはイザナギの禊にはじまっているのですが…この辺はまた後で。
美斗能麻具波比とは まったく異なる「神生み」が誓約によって為されております。
そこで生成の素となるのが「物実・ものざね」なのです。
盛平氏は「誓約」よりだいぶ前の部分に「物実」の意味を見つけているようで、第四神・ウマシアシカビヒコヂ神の登場に既に「形の出現」が示す重要な意図をこう語っております。
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まずは古事記にあるその場面をどうぞ~
「国稚く浮きし脂の如くして、くらげなすただよへる時、葦牙の如く萌え騰がる物に依りて成れる神の名は宇摩志阿斯訶備比古遅神」
この「浮きし脂の如く」という状態は、『単にエネルギーが溢れ漂っている状態』
そこに、『一定の形』を与えることでエネルギーは「用」を以って動きだすのだそうです。
日本神話ではこうした「エネルギーの変容を促すもの」を物実と云っているのです。
「物実・ものざね」の意味は物事(生命・現象)の元になるもの=物の種 なのです。
ウマシアシカビヒコヂ神も「葦の芽の如く萌え騰がる物に依りて」成ったわけですから。この神はまた特別な存在故に「誓約」における神の生成とは別領域ですけどね。
「誓約」はもっと複雑な手順を追っての「物実」からの神生みが成されております。
古事記を読んでみると、我々日本人(日本民族・各一族)の祖というのは、天照大御神と素戔嗚尊による「誓約」により誕生しているのです。つまりは「物実」から生まれているのです。
(つづく)