「紙の月」=紙幣 のことかと思ってた…
【映画 紙の月~感想】
この女、脆く儚く自滅的に見えて…超強い!
そして、最後のあの出会いで彼女は救われたんだろうか?
これが本作を見終えた後の率直な感想です。
はっきりいって、小林聡美さんと1対1の問答がはじまる前までは、
「堕ちてゆく 愚かな女」としか見ておりませんでした…
不倫相手の男(大学生)にもいい様に利用されてるだけに見えたし。
ところが、問答の果てに彼女が立ち上がってからの展開は驚きの連続!
「一緒にくる?」の意味、たぶん私と小林聡美さんは同じ意味で受け取っていたと思う。それが、見事に裏切られるのです。
彼女が纏っている「ひとり感」、家庭でも職場でも不倫相手といても…
あの圧倒的なATフィールドの正体が「紙の月=この世界の現実、すべては幻」という意味が語られ、彼女の過去が明かされた時にやっと「そういうことだったのか」と理解できた。
”人の為に何かをしたい、施す側でありたい”
という彼女の大義はいつしか彼女の拠り所に成ってしまったけど
「困ってる人のために何かしたい、人を救いたい」という強い思いに隠されているのは
”救われない私、誰も私を救ってくれない”という苦痛・悲痛な想いなのかもしれません。
彼女の言動から察するに、「だから、誰かこの世界をぶっ壊してよ!」って心がずっと叫んでたのかもしれない。
やっと、自らがそうずべきだと動きだした結果がこれなのかも。
最後に彼女が目にした光景、あれで彼女は救われたのだろうか?
それとも救っていたつもりでいた、あの少年が自分が手にできなかったものを手にしていたことにショックをうけたんだろうか?
彼女が「金で救った少年」は2人いて、その2人が正反対の結果を見せてくれている。
正反対なんだど、どっちも「今 笑顔で過ごしている」点とその人の人生の中で自分の存在が消え去ってるという点に於いては一緒(同じ結果)というのもグサリとくるね。
自分以外の誰にとっても、「私」はその人の人生の通りすがりの人なんだろう。
人ってそういうものなのかもね。個々の人生は交わるようで、決して交わり1つに成ることはないんじゃなかろうか。そんなことを考え始めると
↓
「紙の月」という彼女の言葉と同じ着地点に辿り着いてしまうのです。