この映画を観ている途中から私は「どっちが善でどっちが悪」なのか
まったくわからない状態になっていた。
この中に私が放り込まれても「どっちが敵」かわからないのだ。
そういう困惑の中「どうしてこんな殺し合いをしなければならないのか?」
「どうして世界から戦争・紛争は無くならないのか?」という疑問が強く湧いてきた。
だが、驚くことに、この映画のラストに
この永遠の難題と思える謎の答えが「バン!」と示されていた。
- ◆映画 キングダム 見えざる敵~あらすじ
- ◆住宅地での激しい戦闘に「どっちが悪なのか」わからなくなる
- ◆「平和」は幻想、ラストの一言でこの映画は現実と融合する
- ◆枝葉ではなく幹、根本を見なければ真実は見えない
◆映画 キングダム 見えざる敵~あらすじ
※1996年に起きたホバル・タワー爆破事件、2003年に起きたリヤド居住区爆破事件を基に製作された映画です(劇中の事件は架空のもの)
サウジアラビアの首都リヤドで事件が起きた。
警察官を装ったゲリラ集団が外国人居住区を襲撃
100人以上を惨殺、死者の中にはFBI捜査官も…
FBIはロナルドら4人の捜査官を現地に送る。
彼らに与えられた現地での捜査活動期限は5日間、
現地警察からは厄介者あつかいで歓迎されない中 捜査ははじまる。
サウジアラビア警察のアル・ガーシー大佐と部下ハイサム軍曹は
市民の命・街の平和を奪う犯人グループは赦してはおけないと
FBIチームの捜査に協力してくれるようになるのだが…
※以下、ネタバレ有の感想となります
◆住宅地での激しい戦闘に「どっちが悪なのか」わからなくなる
はじめは仲間を殺されたFBI捜査官側に寄り添って観ていたんです。
仲間想いで職人気質の捜査官をジェイミー・フォックスが演じており
子供思い・家族想いな面も描かれ共感しやすかったからかなぁ。
でも、現地の人々の居住区での住民を巻き込んでの大銃撃戦からは
どっちが悪で何が正義なのかまったくわからなくなった。
あの銃撃戦で銃をもった住民全員が犯行グループのメンバーとも思えなかったが
急に住宅区に武器をもって押し入ってきたFBI捜査官への憎しみは感じた。
彼らはなんとロケット弾まで使い、自分たちの住宅を破壊してまで
『押し入ってきたアメリカ人』を殺そうとしていたのだ。
たぶん、死も覚悟していたんだろう。
Artcreator_BM ZYTOYS - 1/6モデル RPG-7 対戦車ロケットランチャー ブラック ZY8305A
こんなものが身近にあって、いつでも使えるようにしておかないと
彼らは生活を守れない状況にあるってことに驚いた。
FBI捜査官がこの現地人の住宅区に押し入ったのも
襲撃で連れ去られた仲間を追ってのこと、仲間を救出するためだ。
「どっちが悪かわからなくなった」というよりは
「どっちが善かわからなくなった」ともいえる。
善が悪を殺していいのかもわからないし、何もかもがわからなくなり
思考が車酔い状態になったのだ。
とにかく、あなたもこの戦闘シーンを見て欲しい。
これが日常に起こるべきことなら世界の認識が変わるだろう。
◆「平和」は幻想、ラストの一言でこの映画は現実と融合する
住宅区での激しい戦闘に入ってから
私の中で「世界からこういった戦闘は無くならないんだ?」という
なんでだよ!って思いがムクムク湧いてきて、そればかり考えながら見ていた。
そんな私にこの映画の最後の最後に
たった一言のセリフで
私の胸に湧く疑問に対する答えを示してくれた。
彼らは「大義」や「宗教」の為に闘っているのではない。
彼らはこれまでに敵に殺された仲間・家族・先人たちの復習のために
敵が零になるまで、殲滅するまで闘う覚悟で武器を握っている。
そういうことだったのか…納得させられた。
大地に沁み込んだ同胞の血が多すぎるのだ。
流された血と共に浸み込んだ
悔しさや恨みや憎しみは大地と共にまた子孫に伝えられる。
◆枝葉ではなく幹、根本を見なければ真実は見えない
私の疑問には「世界が平和であってほしい、在るべきだ」という
私の勝手な想いがある。
それはほぼ幻想である「平和」が実現されている
今の日本に私が幸運にも生まれ育てたからだろう。
自分の日常がどんなに奇跡で幻の「平和」なのかがわかった。
では、与えられた答えだけではなく
その前にあった疑問「どっちが悪か」について考えてみる。
今をみて「どちが悪か」わからないのだから 元をたどるしかない。
「どっちが侵略・虐殺をはじめたのか?」
どちらが他人の文化圏に土足ではいってきて荒らしていったのか?
枝葉ではなく幹、そして根を見なければ真実は見えない
そう心に刻むことにした。
ただ「何が正しいか」を突き止めるよりも
今の世界は高速で物事が動き、人々がカカワリをもつので
「今目の前の対処・判断」に追われて考える暇もないってのも
根元に救う諸悪の根源たる存在たちの作戦なんだろうか?
軽い気持ちでみたことを後悔・反省させられた映画です。