ドキュメント映画「おいしいコーヒーの真実」の感想・考察・メモ②
でございます。ここからもっと世界貿易・世界経済の核心に迫っていきます。
コーヒー豆生産者がどんなに品質の高い豆を苦労して生産しても
働けど頑張れどどんどん生活が貧困化していく理由がここにあります。
前回書きました①の続きになります。
⇓
エチオピアのコーヒー生産者は
どんなに頑張って高品質なコーヒー豆をつくろうが
豆を高く買ってもらえず、
非常に安価に大量に業者に買われて持っていかれてしまいます。
コーヒーの価格ってどうやってきまっているのでしょうか?
- コーヒー市場を支配している多国籍企業BIG4
- コーヒーの国際価格はNYとロンドンの商品取引所で決まる
- コーヒー原産地での取引はどうなっているのか?
- 立ち上がるエチオピアのコーヒー生産者組合!
- 次回予告:変わりゆくコーヒー生産者と広がる飢餓
コーヒー市場を支配している多国籍企業BIG4
世界中で1日20億杯以上飲まれているコーヒー!
1990年以降コーヒーの小売販売価格は
年間300億ドルから800億ドルへと上昇した。
※これはこのドキュメント制作時
2005年の情報なので今はもっと巨大化している
そしてこの巨大なコーヒー市場を支配しているのは
たった4つの多国籍企業だというのです!
それがこちら
ちなみにこちらの4社は
今回のドキュメント制作にあたり取材を申し込んだか
応じてくれなかった企業でもあります。
コーヒーの国際価格はNYとロンドンの商品取引所で決まる
では実際にコーヒーの国際価格はどう決められているのか?
コーヒー生産者が丹精こめて生産したコーヒー豆の価格は
どこでだれがどうやって決めているのか?
答えはニューヨーク商品取引所にあります。
金融商品と同じように
買い手と売り手が集まってここで市場価格が決まっていく。
生産者がどんなに高品質の豆をつくろうが
どんな天候でどんな苦労の末の生産量なのかとか
を知る人達ではなくスーツにネクタイの人達が決めていきます。
2004年に取引されたコーヒー契約の総額は約1400億ドル。
ニューヨークとロンドンの市場がこの巨大なコーヒー市場における
コーヒーの国際価格を決めています。
それはこんな仕組み。
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コーヒーは世界で2位の取引規模を誇る一次産品
多くの契約がNY取引所のコーヒー価格を基準とする
↓
多くのコーヒー企業は先物取引を利用することで
リスクを回避している。
↓
製品の販売額が先に決まっているなら
企業は原料代を販売額より低く抑えたい。
利益を生むために!
↓
だから企業にとってNY市場の価格が重要となる。
どうでしょうか?
コーヒー豆が非常に安価に買いたたかれている理由も見えてきましたよね。
多国籍企業とNYとロンドンの市場の売買に参加している人たちの
思惑と利益のために価格が先にきまり
その価格に合わせて企業側の利益が最大化するように
コーヒー生豆は非常に安価に買いたたかれていくのです。
コーヒー豆生産者はコーヒー市場の利益分配の中に入っていない
ように見えませんか?私にはそう見える。
でもここで「あれ?」と思うはずです。
この仕組みって・・・コーヒーだけじゃないよね・・・・。
そう思ったら、気になったら調べるべきです。
きっとあなたにとって重要な発見があるはず。
コーヒー原産地での取引はどうなっているのか?
買う側がより安くコーヒー生豆を手に入れたっていうのは
容易に理解できますよね。
自分たちの利益を最大化したいですから。
でも売り手側はどうしてそんな安価で豆を手離してしまうのか?
どうして生活できない程の安価で取引に応じてしまうのか?
疑問に思う方も多いでしょう。
産地でどんな豆の買い付けが成されているか?
この映画ではコーヒー農家の人たちの生の声で教えてくれます。
①の方でも書きましたが
エチオピアの南部オロミア州のキレンソ・モコニサ農業協同組合で
話すタデッセ・メスケラさんが教えてくれたコーヒー価格の話。
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- 原産国でコーヒー1杯は1ブル(1ブル=0.12ドル)
- 西欧諸国でコーヒー1杯は12ブルもする(約3ドル)
- コーヒー豆1kgで80杯分のコーヒー
- 生豆生産者はコーヒー豆1kgで2ブル(多くて4ブル)しかもらえない
これが今のコーヒー市場の現状だと農家の人々に語っていました。
この話をきき、農家の男性も声をあげます。
「俺たちは相場を知らないし、奴らの言いなりだ」
「収穫の時に仲買人がやってきて、1kg=0.75ブルで買うことが勝手にきまっていく」
「交渉なんてないんだ、すべては勝手に決められていく」
これが生産国での現実です。
エチオピアのコーヒー農家の人たちは
コーヒー市場の規模も知らないし、
自分たちのコーヒーが西欧諸国で
どんな値段でどう飲まれているのか知らないのです。
だから交渉できないし、
交渉するスキさえも与えてもらえないのです。
この時点で生産者と仲買人の関係に
弱者と強者の力関係が見えますよね。
立ち上がるエチオピアのコーヒー生産者組合!
エチオピア南部オロミア州のコーヒー生産者組合の代表である
タデッセ・メスケラ氏は先の話の続きを村人たちに向けこう語っています。
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「我々の組合員となったこの村では、
仲買人ではなく農協(組合)が買い取り、
きちんと利益を分配することを誓う」
「だから高品質な水洗い式コーヒーを提供してほしい」
(高品質な豆をつくり続けて欲しい)
タデッセ氏はエチオピアのコーヒーのために
世界を飛びまわり宣伝・営業・交渉をしている。
国内では生産者組合への加入農家増のため
各地のコーヒー農場をまわっている。
タデッセ氏の奥さんはこう言っていた。
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「エチオピアの農民は靴さえ買えずに裸足で作業している。
タデッセはコーヒー農家を貧困から救う方法を考えつづけ活動を広げてきた。
そんな彼をとても誇りに思うわ」
タデッセも
「コーヒー農家の人たちが安心して普通の生活が送れるようしたい」と言っている。
「普通の生活というのは、毎日食に困らず、
子供たちに教育を受けさせることができること」と続ける。
そう、エチオピアの多くのコーヒー農家は
貧困のため子供たちに教育を受けさせてあげることができない。
教科書を買うお金もないのだ。
子供たちへの教育が、
村や国の発展に必要であることは
エチオピアの誰もがわかっているのに。
次回予告:変わりゆくコーヒー生産者と広がる飢餓
長くなったので
この続きは次回へ。
次回は
- 生産者組合タデッセ氏の活動密着
- イタリア・イリーカフェ社 名誉会長が語るコーヒー市場
- 変わりゆくコーヒー生産者の様子
- 襲い掛かる飢餓の現実
についてい話したいと思います。
コーヒー農場からコーヒーの木が消え
あるものに植え替える生産者が増えているのです。
では、また~☆