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【独女映画部】スマイリー~感想:都市伝説の殺人鬼よりも劇中の「道理と倫理の授業」が実はメイン!

 

お題「最近見た映画」

スマイリー

WHO ARE YOU?

なんでスマイリーがのっめらぼうで「顔ナシ」なのかわかった。

無理やりのっぺらぼうな顔を切り裂いて目と口を

マジックで書いたように縫い糸で表現している理由に納得。

 

 

ジェイソンとかフレディーとか

そういったホラー映画と似たテイストかと思いきや!

 

「道理と倫理の授業を主人公と一緒に受ける」ための作品でした。

スマイリーに関わる大学生たちを観察しながら

講義がすすむ感じなんですな。

気が付かないと逆の見方をしてしまいます(^^;)

 

 

 

映画スマイリーは3つの面を持っていて

この作品のどの面に捕まえるかで見方が全然変わるよ。

 

 

 

都市伝説:チャットに現われる殺人鬼スマイリー

 

「かくれんぼチャット」という匿名で利用できる

ライブチャット(出会い系のような交流サイト)が若者に人気に。

 

ライブチャットはマイク機能はなく

お互いのライブカメラ映像画面越しにみながら

文字を打ち込み会話する仕組み。

 

「笑いのために」と3回書き込むと

チャット相手の背後に突如現れる殺人鬼スマイリーが密かに話題に!

 

大学生になり親元をはなれ

新生活をはじめた真面目な主人公アシュリー。

ルームメイトの派手でパーティー好きなプロクシーと

その仲間と遊ぶようになりスマイリーがチャット相手を殺すところを

モニター越しに観てしまいます。

 

ビックリするアシュリーですが

みんなは「単なる都市伝説だよ」と笑っておわり。

スマイリーの件が気になるアシュリーは

プロクシーと共に「かくれんぼチャット」で相手を探し

「笑いのために」を3回書き込んでみることに・・。

 

すると、画面の向こうのチャット相手の背後に

スマイリーが現れ、チャット相手を殺してしまったのです。

 

慌てるアシュリーが警察に電話しようとしますが

「ネットの怪物なんて誰が信じるの?」とプロクシーにとめられ・・

 

アシュリーは画面越しにこちらに手を振ってきたスマイリーが

忘れられず恐怖におびえ、毎晩スマイリーの悪夢を見るように…。

 

そしてだんだんスマイリーの気配を濃く感じるようになっていくのです。

はたしてスマイリーはホントに存在するのか?

アシュリーはスマイリーに狙われてるのか?

 

スマイリーの正体は驚くべきものだったのです!

 

再び精神科医の薬を飲みはじめるアシュリー

 

アシュリーは母の死後 一時期精神科に通い薬を飲んでいました。

彼女の母もまた精神科に通っており、亡くなった原因も・・・。

 

最近は薬をやめ安定していたのですが

スマイリーの悪夢を見るようになり

どんどんスマイリーの気配を濃く感じるようになり

再び精神科に通いはじめます。

 

話を聴いてもらい、

薬を処方してもらうことで

どうにか壊れないでいるアシュリー。

 

黒パンスト被ったスマイリーの正体(ネタバレ)

チャット内に現れ

画面のチャット相手を殺すスマイリーは

伝線した黒いストッキングをかぶっています。

 

アシュリーがスマイリーのことを調べて

見つけたネットに上がっている動画の

スマイリーはどれもストッキングをかぶっています。

※ここ重要

 

どんどん知り合いが殺され

追い詰められていくアシュリー

警察に駆け込んでも刑事は相手にしてくれません。

「そんな死体も殺人事件も報告はないよ」と。

 

「ネットの動画でみただけなんだろ?君はからかわれているんじゃないか?」

と刑事に笑われて『変な子』扱いされるアシュリー。

 

実家に帰ったプロクシーからチャットで連絡が入り

「彼氏と連絡がつかなくなった、彼に何かあったかも」

と泣く彼女のためにプロクシーの彼・ゼインの家に見に行くアシュリー。

 

ゼインの家につくと既にスマイリーに殺されていました。

そしてパソコンのモニター越しにスマイリーがアシュリーの名を呼んできて・・

 

アシュリーは急いでゼインの家を飛び出し

警察に電話します。

電話に出たのはあの時の刑事で話しの途中で電話が切れてしまいます

「なんで電話を切るの!? 信じられない」と絶望するアシュリー。

 

警察も誰も頼れないので

遂に彼女は決意します。

チャット中のプロクシーに頼んで

スマイリーを自分のもとへ呼び出してもらいます。

 

そうするとなんと!

スマイリーが何体も彼女の前に現れ

追い詰められた彼女は2階の窓から飛び降りて

コンクリートの地面に強く打ちつけられて亡くなってしまいます。

 

その様子を眺めるスマイリー達が

スマイリーマスクを外すと・・・なんとゼイン達だったのです!

死んだと思っていたみんなが実はグルだった。

 

プロクシーの仲間としてアシュリーと交流してきた面々は

実はハッカー集団で

ネット内での自分たちの伝説をつくりたくて

「ネット殺人鬼スマイリー」の都市伝説をつくりあげ

アシュリーを追い詰め彼女の死をもってスマイリーを真の伝説にしたのです。

 

「スマイリー」の名が知れ渡り

模倣犯が現れウィルスのように人の間に広がって

その名を刻んでいくために。

 

アシュリーの死を「最高の結末だ」と喜ぶ彼ら。

でも彼らはわかっていなかったのです。

何かを1つ変えることで世界がまるで別のものに変わることを。

 

本気でスマイリーに怯え

本気でスマイリーの存在を信じた彼女が

彼らの作った幻のスマイリーのために血を流し死んだ瞬間に

今までの世界と別の世界に変わったことに。

 

アシュリーの血により現れた本物のスマイリー

スマイリー

アシュリーの死後

満足げにプロクシーとチャットで話すゲイン。

「何のためにここまでするの?」という彼女に

ゲインは

「I did it for the lulz」と3回書き込みます。

 

「すべて笑いのためさ」と笑っていると

プロクシーの横にスマイリーが現れます。

今度のスマイリーは黒ストッキングなんてかぶってないぜ!

 

ゲインが驚いている間に

プロクシーの頭を掴み

ナイフを彼女の右目に突き刺すスマイリー。

意識無く倒れるプロクシーをみて固まるゲイン。

 

スマイリーの手は画面の向こうのゲインに向かって伸びていき・・。

 

私の考察①スマイリーが「顔なし」な理由

 

スマイリーが人の思考による創造物だから。

だから「個」としてのアイデンティティーの象徴である「顔」がないのです。

スマイリーはネットに転がっている「lulz」の塊であり

「(笑)」が実体化したようなもの。

 

しかも「内輪のナンセンスな(笑)」や

人をバカにしたり、嘲笑うような「(笑)」の集合体。

 

I did it for the lulz.

 

と3回書き込まれる「lulz」の意味がわからず

調べてみたらネットスラングのようなもので「(笑)」とか「wwww」

といったネット内表現の笑いのことだって。

 

私の考察②実は劇中の「道理と倫理の授業」がメインでは!?

これはかなり確信をもっている。

この映画の主軸はきっと

このアシュリーが受けている「道理と倫理の授業」にあって

この授業の内容を理解しやすくするために

「彼らの行動を観客は観察させられている」のだ。

 

劇中のこの授業風景で語られる内容がとても面白いのです。

 

道理と倫理の授業が必修の理由

この授業の意義として教授はこう語っている。

「論理と理性の鍵を使いこなせるように」

 

この鍵を手にすることで

「あらゆる扉を開けられるようになるだろう」と。

 

歴史上の悪行は自信家によって行われた

◆授業で語られた内容φ(..)メモメモ

 

科学的方法とはどういうことか?

仮説を検証すること?

 

正しいと思う仮説を立て、検証する。

その仮説が間違っていたら?

その結果を基に新しい仮説を立てればいい。

 

仮説を検証して、

ありえない何かが起きた場合は?

(超常現象や怪奇現象や幽霊とか?)

 

科学的方法に必要な好奇心と懐疑心は

現実にも応用できる。

 

科学的方法の正反対はイデオロギー

自分の知識に対する完全な自身を指す

つまり批判的思考の終焉だ。

 

歴史上の悪行は自信家によって行われた。

彼らは特別な知識があると信じて疑わず

その知識があるから何でも許されると考えていたんだ。

 

ネットのモラル、自分は頂点に立つハッカーだと言ったゲイン

映画前半の授業の中でかたられた内容と

自信家のハッカー集団であるゲインたちが見事に重なる(--;)

 

ゲインは自分のことを「ネット世界の頂点に立つ存在だ」って

叫んでいましたからね。

 

ナンセンスな笑いを本気で面白いと

求めるようになったら

それは滅ぶ寸前なんだと

つい最近「論語に学ぶ」で読んだ。

 

dokujyolife.hatenablog.jp

 

時代・社会の頽廃は

エロ⇒グロ⇒ナンセンス⇒破壊・破滅

と進んでいくんだそうだ。

 

ぴったりこの作品と合致しておる!!!

 

私の考察③「オッカムの剃刀 」と人間原理

授業は本物のスマイリー誕生に向け核心に迫っていく。

 

オッカムの剃刀は法則?指標?

◆劇中の講義を聴きながらφ(..)メモメモした内容

 

オッカムの剃刀とは?

実体は必要以上に増えないという原理

ありがちな説明は大抵まちがっていない

 

オッカムの剃刀は法則と指標どっち?

無謀な説明が正しいこともある

だから指標ではないか

 

「ありえない」というのは誰がどう決めるんだ??

 

****

※ここからは大事な話といって教授が語った内容

 

『宇宙を支配する すべての物理法則は極めて特殊なものだ。

何かをほんの少し変えただけで

素粒子を1つ変えただけで

この世界は消えてしまう。

 

星や惑星も存在しなくなるし

意識さえなくなる。』

 

『神を信じる人なら話は別だ、

彼らにとって粒子の重さや動きを決定する権限を持つのは

神の存在のみだ、神が決めた法則ならなんだって信じる』

 

 

宇宙が今の状態なのは人間が存在するから?

教授の話を聴いていた生徒たちから質問が飛ぶ。

 

では、宇宙が今の状態なのは人間が存在するから?

物理法則を信じ、宇宙・惑星・星の存在を信じる人間が

存在しているから?

 

この思考こそが人間原理主義だと教授は指摘。

 

人間原理主義には1つ問題がある。

「人間が中心なこと」

 

人間はインターネットを通してコミュニケーションをとる

個々は無力なコンピューターも数が集まればどうだ?

 

人間の脳細胞などはるかに及ばない力を持つ

私たちの想像のはるか先の話だ。

それが意識を持った時、人間に親切だろうか?

 

アシュリーが立てた仮説

人間原理への問いかけの中で

アシュリーが述べた意見。

 

私たちが実はアメーバのような存在だったら

人間だって何かに発展する途中段階かも

人間は想像を絶する生物に成熟する途中段階かも

 

アシュリーを通して揺らぐ「今の状態」

アシュリーがスマイリーの存在により

精神薬を飲むほど精神にゆらぎをおこしている中で

何が起きているか?

 

アシュリーもプロクシーもゲインも「今の現実」と思う世界に

ゆらぎが生じているのではないでしょうか?

 

アシュリーが夢であれ幻覚であれ見ていたスマイリーは

黒ストッキングをかぶっていないのです。

アシュリーの中で少しずつ「スマイリーの存在は確かなものに」

なっていきました。

 

「神を信じる人の世界には神が存在している」ように。

 

アシュリーの見ている現実世界と

ゼイン達が見ている現実世界は違った。

でもその現実世界は平行宇宙のようなものだったのに

あるきっかけで接点ができ一瞬で変わった。

 

新しい現実世界に変わったのか?

よりエネルギーの強い方の世界に飲み込まれたのか?

 

私の考察④世界の接点~ダイヤモンド刑事との電話

本物のスマイリーが現れる前に

まずアシュリーの信じる現実世界と

他の人たち信じる現実世界に接点と変化が起きる。

 

ゲインの死体を目の前にしたアシュリーは

「今までは画面の向こうの殺人だった」ことが

遂に自分のリアル事になった。

 

ここでスマイリーの存在は確定したはず。

 

ゲインの死体を見た後にアシュリーが警察に電話したシーンを

注意深く見て欲しい。

ダイヤモンド刑事と電話で話すアシュリーだが

電話は途中で切られてしまう。

 

この時、ダイヤモンド刑事は同僚に「突然電話が切れた」といい

アシュリーは「話の途中電話を切るなんて!」と憤慨している。

お互いに相手が電話を切ったと思っているのだ。

 

ここがアシュリーと刑事の世界が分離平行となった瞬間でもあり

スマイリーが本当に存在する世界の誕生。

 

アシュリーの世界にゲインたち仲間の世界がのみこまれた瞬間じゃなかろうか。

 

最後の授業:勝者は永遠にわからない

「道理と倫理の授業」も大詰めである。

アシュリーの飛び降り、

ゲインたちの勝利の笑い、

そのシーンの裏で最後の授業は進む。

 

****

※授業を聴いてのφ(..)メモメモ

 

人間が行動する動機とは

その一部は道理と倫理で説明できる

だが限定的なものだ

 

人間は時として

残酷非道な行為をしてしまう

人間とはそれが可能な生き物だ

 

そんな行動をさけるためには?

 

悪にふみこむのを防ぐには

それぞれの文化の道徳観だ

 

道徳観を失えば

力さえあれば何でもありの世界になってしまう

恨みを晴らす人間や

金のために動く人間も

 

もちろん、行動するまで結果はわからない

唯一わかるのは

行動には結果が伴うということだ

 

人間には善と悪の二面性がある

勝者は永遠にわからない

 

*****

 

私たちは今後どんな想像を絶する生き物になるのか?

わからないのと同じなのかも。

 

「笑いのために」という言葉の秘密

「笑いのために」という言葉は

虚無主義を象徴する言葉だと教授が言ってた。

 

I did it for the lulz.

 

彼らは自分たちが「スマイリー伝説」を生み出し

ずっと語り継がれるだろうと喜んでいた。

行ないは虚無主義なのに虚無主義に反する願望である。

 

悪に人の心は誘惑されやすく、魅了されやすいが

人の心はまた悪を英雄とはしない傾向がある。

善への憧れもまた強く持っているのだ。

彼らは伝説にならないだろう。

 

スマイリーをつくり出したのはアシュリーなのだから。

 

評価の低い作品だったのですが

私は「道徳と倫理の授業」を聴くだけでも価値ある作品だと思うよ。

 

では、また~☆

 

 

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