ちょっとメンタルにくる映画「ババドック」を観ました。
出産で病院に向かう車の事故で夫を亡くし、息子を得たシングルマザーの
壊れそうな心でスレスレの日常を送る姿に・・。
どうも~英語と心理学の勉強兼ねて
もともと好きな映画鑑賞を夜の日課にしているプロ独女みつまるです。
一部では有名なホラー映画(※正確には心理モノかも)の
「ババドック」が今日の作品です。
ひとりで頑張るシングルマザーの壊れかけた心と日常のお話。
ちょっと見ていて苦しくなる映画です。
- まったくいう事をきいてくれない問題ばかり起こす息子
- 愛する夫の命日と息子の誕生日が一緒という残酷
- 疲弊した日常に突然現れた「ババドック」の絵本
- 本を燃やしたらババドックが現れ母親の中にイン!
- 母を助けようとする息子と息子に手をかける母
- 息子を守る母の強さに瀕死のババドックと意外なラスト
- ババドック・・魔物の正体とは?
- おまけ:心配してくれる人の存在
まったくいう事をきいてくれない問題ばかり起こす息子
夫を出産したその日に事故で亡くし
そこからたったひとりで子育てに仕事に頑張るアメリア。
介護施設で働き
日中は認知症の老人達のお世話、
家ではずっと動きまわり、ずっと話していて
アメリアのいう事は聞いてくれない息子と一緒。
息子のサミュエルは
自分の思ったまま行動し
何でも思ったことを口にする。
そして常に動き回り、しゃべり叫び
じっとしていられない7才の男の子。
学校でも問題児扱いされ退学処分に。
友達からも「変わり者」扱いされ倦厭されている。
そんな中で唯一アメリアの妹だけは
同じ歳の子供もいることもあって
良き友であり相談相手だったが
サミュエルが彼女の娘を怪我させて
彼女を通じたママ友コミュニティからも締め出されてしまった。
更に息子サミュエルは夜なかなか眠らないので
アメリアは毎晩遅くまで絵本を読んで聞かせて
やっと自分のベッドにいくが
ことあるごとに息子に起こされる日々が重なっていった。
このシングルマザーの日常を淡々と映画は描き出すのですが
アメリアの神経衰弱していく姿に観ている私もどこか鬱々としてくる。
誰も悪くない。
誰も悪くない。
この母子の周囲の人たちも
意地悪するわけでもバカにするわけでもなく
ただただ「関わろうとはしないだけ」なのだ。
でもそれが「誰も関わろうとしない」状態に。
愛する夫の命日と息子の誕生日が一緒という残酷
アメリアは7年たっても未だに夫を愛している。
未だに彼を求めてしまう。
駐車場で車内で熱くキスを交わすカップルの様子から目が離せなくなり、
その夜、たまらず自室のベッドでセルフ行為の絶頂中に
いきなり息子が叫びながら部屋に入ってきて邪魔される。
これが彼女の日常だ。
女になる時間はない。
サミュエルは実は誕生日当日に誕生日会をしてもらったことがない。
児童相談所だか役所の人か?
サミュエルの学校問題で家に訪ねてきた時に
サミュエルがこのことを彼らに教えると
アメリアは淡々と「その日は夫の命日なので」と答えていた。
映画を見ていると
サミュエルの為に一生懸命に母親として頑張っているアメリアだけど
時々 夫>>>息子 という気持ちがチラつく。
心のどこかで
- 出産の為に病院に向かう車での事故による夫の死
- 夫の命日と息子の誕生日が一緒
- その日はアメリアにとっては「夫の命日(亡くなった日)」
愛する夫の死=息子のせい(息子の犠牲になった)
というような、そうは思いたくないし、そんな事実はないんだけど
この想いが確かにあるように見えた。
たぶん本当は自分を責めたいのかもしれないけど
今、一番彼女を振り回し周囲からの孤立の元になっているポイントに
「サミュエル」がいるからだと思う。
疲弊した日常に突然現れた「ババドック」の絵本
そんなアメリアとサミュエルのもとに
突如現れた謎の仕掛け絵本・・・「ババドック」
ドアを3回たたいて入ってくる
ババドックは「中に入れろ」と迫ってくる。
家に入ってからは
「お前の中に入れろ」と迫ってくる。
ババドックという名をしったらもう逃げられない
その後余白のページが続く・・謎の絵本。
不気味な話でサミュエルはすっかりババドックに怯えるし
前にもまして家でも外でも「怪物が!!」と騒ぎまくる。
アメリアは疲れ切って
医師にサミュエルのことを相談。
医師は「子供の時というのは幽霊や怪物を怖がるものさ」で終わり。
でも精神衰弱が誰の目にもわかるアメリアの懇願で
夜中サミュエルが寝てくれるように睡眠薬をもらう。
アメリアはババドックの本を破いて家の外のゴミ箱に捨てるが
しばらくするとドアを3回ノックする音とともに
玄関に補修されたババドックの本が!!!
しかも、話が書き足されてるし!
「お前が逃げる程、否定するほど私は強力になる」
と不吉なこと言いだすババドック!
本を燃やしたらババドックが現れ母親の中にイン!
怖くなってババドックの本を今度は焼却処分したアメリア。
安心して寝ていたら
寝室にババドックが入ってきた!!
そして叫ぶアメリアの口から
ババドックが彼女の中に入っていってしまった。
凶暴化するアメリア。
息子サミュエルに対して怒鳴り、脅し、力ずくでいう事をきかせます。
今までと真逆や!!
いう事をきかないサミュエルには鬼の形相で
「お前の頭を床にたたきつけて何度割ってやりたいと思ったことか!!」
とか
「夫じゃなくて、お前がシねばよかったんだ!!」
と叫ぶアメリア。
その後、いつものアメリアに戻ると
サミュエルに謝り抱きしめようとする。
もう心がコントロールできておらん。
制御不能に・・・・。
母を助けようとする息子と息子に手をかける母
サミュエルは母の中にババドックがいることに気がつき
「ママを救う」と決める。
ほぼババドックと化したアメリアは息子をコロそうと追いかける。
ババドックと闘うため武器を用意していたサミュエルは
頭を打って気絶したの四肢を縛り固定し
母の中からババドックを追い出そうと
母に話しかける「ママが僕を嫌いでも、僕はママを愛しているよ」と。
でも子供の縛った縄はすぐにゆるみ
サミュエルはアメリアに首を絞められてしまう。
苦しむサミュエルの顔を見たアメリアは
なんとか我に返って口からコールタールのような黒いドロっとした液体を
吐きだした。
どうやらこれがババドックのようである(^^;)
親子で「終わった・・」とほっとしたのもつかの間
カラスのような大男ババドックが姿を現したのである。
この叫ぶシーンは実体を現したババドックに向かって
闘うこと、負けないことを宣言しているのである。
息子を守る母の強さに瀕死のババドックと意外なラスト
何だかんだで
息子を守ると決めた母の決意とババドックへの怒りのパワーで
ババドックはあっけなくやられ瀕死の状態に・・・。
サミュエルは「近づいたら危ない」というのに
瀕死のババドックの様子を見に近づくアメリア・・・。
ここからこの映画の物議を呼ぶ展開がはじまります。
すっかり平和を取り戻した母子の明るい笑顔が絶えない日常が
描きだされお誕生日当日にお祝いしてもらうサミュエル。
ところが・・・・
庭でミミズや虫を採取してボウルに溜める母子。
そしてその虫たちをもってアメリアは地下室に向かいます。
サミュエルには「絶対に地下室にいってはダメ」と注意。
なんと、
アメリアは地下室でババドック飼ってるよ!
しかも虫喰わしてるし!!
でも実態があるようでないような・・・
透明でもあり闇の奥に隠れてもいる・・・。
ババドック・・魔物の正体とは?
色々な意見があるようですが
私の完全な個人的考察を書いていきます。
ババドックとはアメリアの心の暗闇にいた魔物でしょう。
たぶんババドックに入られた時に息子にいった暴言もアメリアの心にあった本心。
ババドックは時々亡くなったアメリアの夫の姿になって彼女の前に現れていました。
だからババドックというのはアメリアの苦痛や怒りが詰まったモノなのかも。
- 問題ばかり起こして周囲から疎まれる息子
- もともとは出版の仕事をしていたのに今は介護の仕事をしている
- 愛する夫を失った悲しみ
- 未だに夫を愛する気持ち
- 今の自分をみじめに想う気持ち
- 愛する息子を疎ましく思う気持ち
認めたくない現実や想いに 捨てられない気持ち。
こういったものに背を向け気づかないようにすることで
「否定するほど強大になる」というババドックの言葉通りになったんでしょう。
壊れそうな心がついに壊れ
新たな安定の形を見つけたのかもしれません。
ババドックの正体は彼女の心の闇部分ですが
そこは愛と苦悩と憎しみが複雑に絡み合ったものばかり。
簡単に捨てることも消滅させることもできないんです。
ただ、もともと出版や編集の仕事をしていたアメリアが
ババドックの絵本という形で自分で目をそむけている心の闇を
外に出して形にし、
そこからさらにババドックを通して本音をぶちまけたことで
彼女は安定を取り戻したのです。
自分の外側に「自分の否定する自分」を存在させた方が
心のバランスは取りやすいのです。
だって自分と別の存在になったから。
ババドックが今もいる・・・からこそ息子を守って大事にできる。
ババドックが今もいる・・・からババドックが夫の幻影を見せる。
しかも彼女はババドックを飼っています。
映画では地下に閉じ込められているけど
ババドックは拘束はされていないのです。
彼女は完全にババドックを支配下に置いています。
まーもともと彼女の心の闇ですけど、
コントロールできるようになったのです。
こんなこといったら超怒られるかもしれないんですが
目に見えない、存在の証明がされていないモノの存在を信じるかどうか?
ババドックの存在を認めているアメリアも
神様の存在を信じる人々も
お盆などに先祖の魂がかえってくると信じる我々も
結局は同じことなんじゃないでしょうか?
自分から見える世界とは
自分が存在を認めたものだけで構成されている
と私は思うので。
おまけ:心配してくれる人の存在
この映画の唯一の救い。
それはお隣の親切なおばあちゃんの存在です。
唯一、この母子を心から心配していつも声をかけてくれるのです。
アメリアやサミュエルが楽しそうな日は挨拶だけ、
アメリアの顔色が悪い時は「早く休んで」と声をかけ、
ババドックに乗っ取られた母と怯える子に気が付いた時は
深夜でも駆けつけて「私を頼って」と言ってくれる(;;)
どうやらアメリアの夫のことも小さいころから知る隣人のようです。
このおばあちゃんだけは
サミュエルも普通の元気な男の子として
「いい子ね」と面倒みてくれます(;;)
こういった存在ってやっぱり救われる。
あなたは誰かのこんな存在になってますか?
私は・・慣れてないです。反省。
こんなおばあちゃんになりたいな。
ひとりで子育ては本当に無理よ・・・周囲の協力絶対必要だって思いました。
では、また~みつまるでした。
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