プロ独女のライフハックブログ

BBA独女みつまるが「今」気になることを追いかけ綴る人生冒険日記

【深夜映画部】「スリーピング・ビューティー」~川端康成の「眠れる美女」が原作の美しい映画

お題「最近見た映画」

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川端康成の原作が気になる

川端康成の「眠れる美女」が原作っつーか原案の美しい映画です。

西洋文化から見た川端文学はこんな感じなのかな。

どうも~酒と本と映画が好きなプロ独女みつまるです。

 

 

 

 見てくれよ!

これ、実写なんだぜ。油絵みたいだ・・・美術館になってもおかしくない。

オーストラリア映画で主役は眠る美女のルーシーとなっています。

 

お恥ずかしい話なのですが

私、なにもわからず見たため

原作が川端康成の「眠れる美女」ということを後から知りました。

更には私原作の「眠れる美女」まだ未読です。

 

 

富裕層の老人のための「秘密サービスクラブ」に関わる屋敷や部屋の様子に。

ちょいちょい日本を感じさせる演出があったのはこのためだったのか・・。

 

では、いろいろ思ったことを書いていきます。

深夜映画部日記行きますよ。

 

 

 

 

学費と生活費を必死に稼ぐ渇いた美人女子大生

 

どうして彼女を主役にしたんだろう?

 

川端作品が原作と聞いて

原作の「眠れる美女」を未読の状態の私でも

主役に置くべき視点は「1人目の老人」か

「秘密クラブ経営者の女性」ではないか?

そんな思いが溢れてきた。

 

はっきり言って

主役のルーシーはとっても絵になっている。

彼女の人生に渇いた感じも合っている。

希望や期待が持てないまま今をなんとかやりくりしている感は

日本文学の根っこにつながるものを感じる。

 

スリーピングビューティー ?禁断の悦び?(字幕版)

 

彼女は薬でおかしくなった占い師の母親に金をせびられ

居候していた家は追い出され

唯一心を許せる男は今にも消えそうで

どこにも安心できる居場所がない。

 

でも大学に通い生活している。

大学では治験バイト(?)みたいな実験の被験体バイトしていたり

カフェで働き、オフィスの書類係りのバイトもして

時にはバーで知り合ったスーツの男達相手に体も売っていた。

 

それでもやっとの生活の彼女は

自給250ドルの「シルバーサービス」の求人広告をみつけ応募。

美しい彼女は即採用となった。

もちろん彼女は「世間」を痛いほど知っていたし経験してきたので

高額な自給の理由もどんなサービスを自分がするのかも知っていた。

 

ただ実際には彼女が思う「性」的サービスと少し違っていたけど。

 

彼女は淡々としているのだ。

どんな状況でもサラッと受け入れ生きている。

ドラッグをすすめられやるときも

男を紹介され体を売るときも

「あっそ、じゃあ早く済ませましょ」くらいに淡々とこなしてく。

 

自分の境遇を他人のせいにして恨んだりはしていなように見える。

かといって「自分のせい」という気もないので余計に淡々とすべてを

受け流して生きている感じなのだ。

 

躊躇なく脱ぎ画面では何度も出てくる彼女の裸体は

絵画のように美しい。

エロさはなく、透き通るような白い肌の小さい体は

まだあどけない少女のようでもあるのだ。

実際はけっこうやりまくりの女子大生だけど。

 

とにかく、彼女が主役で彼女を通して

画面の世界を覗くわけですが

彼女の感情はいつも無音(無振動)にちかいくらい揺れない。

「やるせなさ」は感じるが

老人と対比を成すであろう「みずみずしく眩しい命」としての若さは

ほぼ感じないのである(^^;)

 

 

シルバーサービスという「秘密老人クラブ

 

映画では「秘密老人クラブ」の本サービスに触れる前に

胸は丸出しの下着姿の女性スタッフが給仕係の

ディナーの様子などがちょっと東洋の怪しさも含まれ

描かれている。

 

非日常の空間がいいのか?

女性を辱しめ支配している感じがいいのか?

それとも芸術としての楽しみなのか?

 

私にはさっぱりわからないが

富裕層となり金と暇を持て余す現役を退いた人というのは

こういった楽しみにいきつくのか?と。

 

消費するだけの人にんるのかぁ・・・。

とちょっとさみしい気持ちになりつつ

本サービスに驚いた!

 

なんとルーシーたち美女の本当のお仕事は

睡眠薬を飲んでただ一晩寝ることなのだ。

 

その間、既に男としてはたたなくなった富裕層老人たちが

一晩に1人づつ彼女の側で好きに添い寝するのだ。

挿入は禁止。女性に傷をつけないこと。

あとは特に禁止実行はないのだ。

館の主クララが立ち去れば

もう誰の目も気にせず眠っている美女と好きにすごしていいのだ!

 

もちろん

だいたいの老紳士が

まずは美しいルーシーの身体を観て楽しむ。

そして美しい肌に触れる。

 

そこからは罵声を浴びせながら

馬乗りになって彼女の顔をなめまわす老人、

彼女をバーベルのように担ぎ上げては

男としての力を示そうとする老人など

みんなさまざまに深い眠りの中にいる

意識のない人形のような彼女との時間を楽しむ。

 

 

結局はみんな若く美しい沈黙の美女の前に

己の老いと迫る死期を実感してしまうようだった。

 

 

死んだように生きる事と死はとても似ている

 

ルーシーは自分が寝ている間に何が行われているか?

一度でいいから見てみたいとクララにお願いしたが

高級サービス故に秘密保持は徹底しているのでもちろん許されない。

 

しかしルーシーは

どうしても知りたくて小型の録画カメラを仕掛けてしまうのだ。

 

そのカメラに記録されたものが

映画のラストに流されるのだが

深く眠っているルーシーと

隣でうつぶせで亡くなっている老人は

「どちらも眠っているようにも」

「どちらも死んでいるようにも」

見えるのです。

 

動かない2人をずっと映す映像は

時さえ止まっているのか進んでいるのか

わからなくなる。

 

生と死

止まっている時間と流れる時間

差はないのかもしれないですね。

 

 

川端康成の原作は老紳士の視点から描かれている

 

私も自分が原作者だったら・・って考えた時

少女ではなく秘密クラブ経営の女性か老人側の視点から

描くだろうな…って思ったんですよね。

 

どうやら原作は「老紳士」の視点で描かれているようです。

 

まーそうですよね。

あの状況で複雑に感情が動かされるのは

眠る若く美しい命を前にした老人側でしょうから。

色々経験して生きてきたからこそ

目の前の人形のような裸体の少女を通して

自分の脳内の想像力で描く最高の官能の世界かのかもしれない。

 

 

どんなに美しくても

どんなに抵抗しなくても

どんなに自分が金で女との時間を買っていても

相手に意識がないので

「相手は自分を受け入れてはくれない」

「今ここにいる存在の認識さえしてくれない」

わけです。

 

圧倒的な拒絶や虚無に襲われそう・・・・。

原作では目の前の少女たちを通して

主人公の1人の老紳士が自分の中にいる女達と再び向かい合うようです。

 

 

自分を受け入れてくれる相手がいるってすごい価値あることだ

 

若さと老い、生と死が原作のテーマでもあるようですが

私は相手に自分という存在を受け入れてもらえる、

受け入れてもらえているということがものすごく価値あることなんだと

改めて思い知らされた作品でした。

 

金と力があれば

いくらでも相手を支配できるでしょうが

相手はけっしてそんな奴を心の中に認めてはくれないでしょう。

 

誰かの目に映ることさえもすごいことなんだと思えた。

秘密クラブの老人たちはルーシーの目に映ることさえ

なかったんだから。

 

 

実際の老人の死と

前日の男に勧められた強い薬と館での睡眠薬

自分の死も常に身近にあることに気が付いたのか

叫ぶルーシーの心の内がまだよくわかっていない私です。

 

 

とにかく綺麗なルーシーの絵になる姿は一見の価値ありです。

 

では、また~☆

 

 

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